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研究チーム紹介

社会参加・社会貢献の促進に関する研究

 

メンバー

リーダー:
研究部長  藤原佳典
専門副部長:
小林江里香
研究員:
鈴木宏幸、野中久美子、桜井良太、倉岡正高
テーマ研究員:
村山陽、小川将、田中元基、高橋知也、村山幸子、松永博子、飯塚あい、芦田登代、長谷部雅美、村山洋史
テーマ研究スタッフ:
山口淳、根本裕太、松村零那、小林キミ、小林桃子
研究生:
望月美希、オルコット キャロライン
学振SPD:
桜井良太
連携大学院生:
飯塚あい、小林キミ

キーワード

社会参加、社会貢献、世代間交流、多世代共創、社会的孤立、ソーシャルキャピタル

主な研究

  1. 高齢者のウェルビーイング(幸福)を促進・阻害する社会的要因の解明
  2. 多世代共創社会に向けた世代間交流・ソーシャルキャピタル醸成の効果検証
  3. 高齢者の多様なニーズに応える有償・無償の社会貢献プログラムの開発
  4. 社会的孤立の予防に向けた重層的地域包括ケアシステムの開発

研究紹介

  1. 長期縦断研究 (東京大学、ミシガン大学等との共同研究)は、全国の高齢者(無作為抽出された代表標本)を対象として1987年から25年以上にわたって継続しています。2012年までに計8回のパネル調査を実施しました。調査では、心身の健康や生活習慣、家族、友人・近隣関係、社会参加、経済状態など、高齢者の生活の様々な側面についてお尋ねし、その実態や変化の様子、変化の要因や影響などを明らかにしています。調査対象者や方法、研究成果などの詳細は、調査のホームページを参照下さい。2012年に実施した第8回調査では、団塊の世代を含む新しいコホートが追跡対象者に加わりました。高齢期の社会参加の規定要因や心身の健康などへの影響、およびそれらが加齢やコホートによってどのように変化しているかを明らかにしていきます。
  2. 高齢者は心身機能の低下等、負のライフイベントに直面しやすいため、ボランティア活動を長期に継続することは困難であるとされてきました。世代間交流の視点から2004年より展開している高齢者による学校支援ボランティア活動「REPRINTS」 を主な研究対象に、ボランティア個人レベルと団体レベルの2側面から長期的・多面的効果の検証と活動継続のための支援策を提示することを目標に以下の4つの研究を実施しています。
    • (1)学校支援ボランティア(REPRINTS事業)の継続により、高齢者ボランティア自身の健康や子どもの情操教育さらには保護者の理解・感謝にもたらす効果が実証されました。ソーシャルキャピタル(地域への波及効果)の視点も加えて引き続き、長期的効果(最長10年観察)を調査中です。
    • (2)認知機能への影響を明らかにするために、記憶力に愁訴のある地域高齢者を主な対象にREPRINTSプログラムを応用し絵本の読み聞かせ方法の習得を題材とした認知機能低下抑制(いわゆる認知症予防)プログラムを開発し無作為割付比較対照試験を実施しています。中間評価では、短期の記憶力や実行機能において介入群は有意な改善を見ました。
    • (3)世代間交流活動の影響や効果を測る、新たな評価指標を開発しています。自記式アンケートによる「地域の子育て支援行動尺度」、「次世代育成感尺度」と観察式の「世代間交流評価尺度」を作成しました。
  3. 都内のある自治体が2012年2月に開設した、高齢者向けのいきがい就労支援紹介総合事業「アクティブシニア就業支援センター」における参与観察を開始しました。1年間の運営実績から、高齢者への就労支援事業が、女性と比して社会参加が劣る傾向にある男性に社会参加の機会を提供する手段となる可能性が示されるとともに、利用している男性が実際の就職には繋がり難いという課題が明らかになりました。新たにステーションを利用する高齢者モニターを募集し、就労状況と関連要因を追跡しています。有識者による高齢者就労支援に関する研究会「ESSENCE」を継続開催し、高齢者就労のあり方について提言しています。
  4. 2008年度より、高齢者の社会的孤立に関する実態把握と地域における重層的な予防策の提示を目指し、以下の4つの研究を進行しています。
    • (1)社会的孤立とソーシャルキャピタルに関わる和光市高齢者縦断調査
      埼玉県和光市と連携し2008年度に初回調査を行い2010年度2,300人を対象に追跡調査を実施し1,782人(78.3%)より回答を得ました。孤立者の2年後の状況は、「脱落(転出・死亡等で調査から除外、未回収)」33%、「孤立」40%、「非孤立」23%であり、非孤立者に比べて脱落者や孤立継続者の割合が高いことが分かりました。2012年度、2014年度、2016年度には第3、4、5回調査を実施しました。
    • (2)重層的な地域多世代共助システムの開発
      高齢者世代と子育て世代が世代を超えて日常の困りごとを助け合う地域づくりプロジェクトを東京都北区および川崎市多摩区にて推進しています。世代を超えた互助の実現には、子育て世代と高齢者世代が互いのニーズを理解し、互助の精神を共有し、各世代の抱える実質的な課題を解決する仕組みと日常的な交流を積み重ねることが必要です。そのために、各モデル地区にて高齢者および子育て支援団体と合同の協議会を立ち上げて、3つのプログラム、1)地域住民間に緩やかなつながりづくりを目的とした「多世代挨拶運動と多世代共生キャンペーン」、2)多世代住民間の「顔の見える関係」づくりを目的とした多世代交流プログラムと多世代が集う居場所づくり、3)地域住民が世代を超えて日常の困りごとを解決しあうことを推進する全世代対応型Webマッチングシステム「よりあい」を開発しています。
    • (3)軽度認知機能低下者(MCI)は社会的にも孤立しがちです。その早期発見をめざし、軽度認知機能低下(MCI)のスクリーニング尺度Montreal Cognitive Assessment(MoCA)の日本語版MoCA-Jを開発しました。臨床現場でも活用される一方で、地域での応用の可能性を検討しています。

過去3年間の主要文献

  1. Sakurai R, Suzuki H, Fujiwara Y, Yasunaga M, Takeuchi R, Murayama Y, Kobayashi K, Kanosue K, Ishii K: Neural basis for the relationship between frequency of going outdoors and depressive mood in older adults. International Journal of Geriatric Psychiatry, In press.
  2. Sakurai R, Montero-Odasso M. Apolipoprotein E4 Allele and Gait Performance in Mild Cognitive Impairment: Results From the Gait and Brain Study. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2017 May 6. doi: 10.1093/gerona/glx075.
  3. Fujiwara Y,Nishi M, Fukaya T, Hasebe M, Nonaka K, Koike T, Suzuki H, Murayama Y, Saito M, Kobayashi E: Synergistic or independent impacts of low frequency of going outside the home and social isolation on functional decline: A 4-year prospective study of urban Japanese older adults. Geriatrics & Gerontology International, In press.
  4. Sakurai R, Fujiwara Y, Yasunaga M, Suzuki H, Sakuma N, Imanaka K, Montero-Odasso M: Older adults with fear of falling show deficits in motor imagery of gait. The Journal of Nutrition Health and Aging,2017;21(6):721-726.
  5. Yasunaga M, Murayama Y, Takahashi T, Ohba H, Suzuki H, Nonaka K, Kuraoka M, Sakurai R, Nishi M, Sakuma N, Kobayashi E, Shinkai S, Fujiwara Y: The multiple impacts of an intergenerational program in Japan: Evidence from the REPRINTS Project. Geriatrics Gerontology International 2016,16 (Suppl 1):98-109.
  6. Sakurai R, Kawai H, Yoshida H, Fukaya T, Suzuki H, Kim H, Hirano H, Ihara K, Obuchi S,Fujiwara Y: Can you ride a bicycle? The ability to ride a bicycle prevents reduced social function in older adults with mobility limitation. Journal of Epidemiology, 2016,26: 307–14.
  7. Sakurai R, Yasunaga M, Murayama Y, Ohba H, Nonaka K, Suzuki H, Sakuma N, Nishi M, Uchida H, Shinkai S, Rebok G, Fujiwara Y: Long-term effects of an intergenerational program on functional capacity in older adults: results from a seven-year follow-up of the REPRINTS study. Archives of Gerontology and Geriatrics, 2016, 64: 13–20.
  8. Sakurai R, Fujiwara Y, Yasunaga M, Suzuki H, Murayama Y, Imanaka K, Kanosue K, Ishii K: Neural correlates of older adults’self-overestimation of stepping-over ability. AGE,2016 ;38(4):351-361.
  9. Sakurai R, Fujiwara Y, Ishihara M, Yasunaga M, Ogawa S, Suzuki H, Imanaka K: Self-estimation of physical ability in stepping over an obstacle is not mediated by visual height perception: a comparison between young and older adults. Psychological Research,Psychol Res. 2016 Jun 11.
  10. Minami U, Suzuki H, Kuraoka M, Koike T, Kobayashi E, Fujiwara Y: Older Adults Looking for a Job through Employment Support System in Tokyo. PLoS One, 2016, 21;11(7), e0159713, 2016.Jul 21
  11. Fujiwara Y, Shinkai S, Kobayashi E, Minami U, Suzuki H, Yoshida H, Ishizaki T, Kumagai S, Watanabe S, Furuna T, Suzuki T: Engagement in paid work as a protective predictor of BADL disability in Japanese urban and rural community-dwelling elderly residents: An 8-year prospective study,2016, 16(1):126-134,doi: 10.1111/ggi.12441.
  12. Suzuki H, Kawai H, Hirano H, Yoshida H, Ihara K, Kim H, Chaves P, Minami U, Yasunaga M, Obuchi S, Fujiwara Y: One-year change in Montreal Cognitive Assessment performance and related predictors in community-dwelling older adults. J Am Geriatr Soc. 2015, 63(9):1874-1879
  13. Minami U, Nishi M, Fukaya T, Hasebe M, Nonaka K, Koike T, Suzuki H, Murayama Y, Uchida H, Fujiwara Y. Effects of the Change in Working Status on the Health of Older People in Japan. PLOSONE, 2015 Dec 3;10(12)
  14. Kobayashi E, Liang J, Sugawara I, Fukaya T, Shinkai S, Akiyama H : Associations between social networks and life satisfaction among older Japanese: Does birth cohort make a difference? Psychology and Aging, 2015, 30(4), 952-966.
  15. Suzuki H, Kuraoka M, Yasunaga M, Nonaka K, Sakurai R, Takeuchi R, Murayama Y, Fujiwara Y : Cognitive intervention through a training program for picture-book reading in community-dwelling older adults: a randomized controlled trial. BMC Geriatrics, 2014.Nov, 14(122), doi:10.1186/1471-2318-14-122
  16. Sakurai R, Fujiwara Y, Yasunaga M, Takeuchi R, Murayama Y, Ohba H, Sakuma N, Suzuki H, Oda K, Sakata M, Toyohara J, Ishiwata K, Shinkai S Ishii K.: Regional Cerebral Glucose Metabolism and Gait Speed in Healthy Community-Dwelling Older Women..J Gerontol A Biol Sci Med Sci., First published online July 14, 2014
  17. Murayama Y, Ohba H, Yasunaga M, Nonaka K, Takeuchi R, Nishi M, Sakuma N, Uchida H, Shinkai S, Fujiwara Y: The effect of intergenerational programs on the mental health of elderly adults. Aging & Mental Health,2014, 18, 1-9.
  18. Sakurai R, Fujiwara Y, Sakuma N, Suzuki H, Ishihara M, Higuchi T, Imanaka K: Influential factors affecting age-related self-overestimation of step-over ability: Focusing on frequency of going outdoors and executive function. Arch Gerontol Geriatr., 2014,59(3), 577-583.
  19. 藤原佳典:地域包括ケア時代における高齢者の社会参加・社会貢献 序文.Geriatric Medicine(老年医学), 2017, 55(2), 5-6.
  20. 倉岡正高,長谷部雅美,野中久美子,村山陽,安永正史,南潮,藤原佳典:多世代循環型社会における世代間交流の実装の要件と可能性の検討, 日本世代間交流学会誌, 2017, 6(1), 69-74.
  21. 小林江里香,深谷太郎,原田謙,村山陽,高橋知也,藤原佳典:中高年者を対象とした地域の子育て支援行動尺度の開発. 日本公衆衛生雑誌. 2016; 63:101-112.
  22. 藤原佳典 高齢者の就労の現状と課題,老年社会科学,2016,38(1),94-101.
  23. 23. 長谷部雅美,小池高史,野中久美子,深谷太郎,李暻娥,村山幸子,渡邊麗子,植木章三,吉田裕人,松本真澄,川崎千恵,二瓶美里,田中千晶,亀井智子,渡辺修一郎,藤原佳典:一人暮らし高齢者における見守りセンサーを用いた在宅生活支援に関する検討-高齢者への健康調査と地域ケア機関への利用実態調査より- 老年社会科学,2016,38(1),66-77.
  24. 24.桜井良太, 河合恒, 深谷太郎, 小島基永, 吉田英世 大渕修一, 藤原佳典.地域在住高齢者における自転車関連事故発生率とその傷害率-潜在的傷害事故の把握に向けた予備的検討. 日本公衛誌, 2015, 62 (5) ,251-258.
  25. 25.長谷部雅美,小池高史,深谷太郎,野中久美子,小林江里香,西真理子,村山陽,鈴木宏幸,藤原佳典.一人暮らし高齢者における他者への信頼・互酬性に関する認識と健康との関連-世間一般と居住地域に対する認識のかい離に着目して-.厚生の指標, 2015, 62(4), 9-16.
  26. 26.南 潮,鈴木宏幸,倉岡正高,小林江里香,深谷太郎,内田勇人,藤原佳典 都市部における新たな高齢者向け就労支援施設の取り組み.日本公衆衛生雑誌,2015, 62(6), 281-93.
  27. 27.村山陽, 高橋知也, 村山幸子, 二宮知康, 竹内瑠美, 鈴木宏幸, 野中久美子, 深谷太郎, 谷口優, 西真理子, 新開省二,藤原佳典 : 高齢者における「世代間のふれ合いにともなう感情尺度」作成の試み-高齢者の心身の健康との関連-. 厚生の指標, 2015, 61(13), 1-8.
  28. 小池高史, 鈴木宏幸, 深谷太郎, 西真理子, 小林江里香, 野中久美子, 長谷部雅美, 藤原佳典: 居住形態別の比較からみた団地居住高齢者の社会的孤立.老年社会科学, 2014,36(3), 303-312.
  29. 村山陽, 高橋知也, 村山幸子, 二宮知康, 竹内瑠美, 鈴木宏幸, 野中久美子, 深谷太郎, 谷口優, 西真理子, 新開省二, 藤原佳典: 高齢者における「世代間のふれ合いにともなう感情尺度」作成の試み:高齢者の心身の健康との関連 .厚生の指標, 2014,61(11), 1-8.
  30. 小林江里香,深谷太郎,杉原陽子,秋山弘子,Liang J: 高齢者の主観的ウエルビーイングにとって重要な社会的ネットワークとは:性別と年齢による差異.社会心理学研究, 2014,133-145.

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