地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター

〒173-0015 東京都板橋区栄町35番2号

文字サイズ

トップページ > 診療科のご案内 > 診療科一覧 > 耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科

診療科の概要と特徴

耳鼻咽喉科では耳・鼻・口腔・咽喉頭・頸部領域の疾患の診療を常勤医師3名(うち耳鼻咽喉科専門医2名、気管食道科専門医1名)で担当しています。診療の中心は外来治療、手術であり、高齢者のQOL向上を目的とし心を込めた診療に努めております。

  • 慢性中耳炎・慢性副鼻腔炎に対する外科的治療を行っています。
     高齢者の場合、慢性中耳炎による伝音難聴(鼓膜や音を伝える耳小骨の障害によって生じる難聴)に加え加齢による感音難聴が加わることで、より高度な難聴を呈しますが、手術により聴力改善が期待できる場合があります。また、慢性中耳炎を放置すると、加齢に伴う免疫力の低下により耳漏が止まらなくなり,頭蓋内などに重篤な合併症を来すことがあります。当科では、約一週間の入院での外科治療を行い、聴力改善や耳漏停止により患者様のQOL向上に努めております。
     慢性副鼻腔炎は、鼻汁・鼻閉・後鼻漏による不快な自覚症状に加え、喘息や慢性気管支炎などの下気道疾患の増悪を伴うことがあります。当科では、原因(アレルギー、細菌感染、真菌感染など)に応じた内服治療を行っても治療に抵抗する慢性副鼻腔炎に対しては、約1週間の入院で内視鏡下鼻内手術を行い、自覚症状の改善や合併症の予防に成果を挙げています。2008年より、術前に撮影されたCT画像上に手術器具の先端をリアルタイムで表示し目的部位に正しく導く画像支援ナビゲーションシステムを導入し、より安全な手術を心がけています。
  • 嚥下障害の診断と治療を行っています。
     当科では、「のみこみにくい」「食べるとむせる」「誤嚥性肺炎を繰り返す」といった嚥下障害の患者様の診断と治療に取り組んでおります。神経学的診察と嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査などにより、原因不明の「のみこみにくさ」に対しては、嚥下障害の原因検索を行い、脳梗塞後などの嚥下障害に対しては、食事形態・摂食方法の指導やリハビリテーション介入の適応の判断、外科的治療(嚥下改善手術、喉頭形成術や誤嚥防止手術)を行っています。嚥下障害の原因は多岐にわたることからチームアプローチが重要ですが、当院では、リハビリテーション科、神経内科、歯科口腔外科、言語療法士が密に連携を取り合い、患者様の病態に応じた全人的な診断・治療が可能です。
  • 補聴器の適合を行っています。
     当科にご相談に見える患者様の疾患で最も多いのは、加齢に伴う難聴です。現代の医学において、残念ながら薬物や手術で治療が出来る難聴ではありませんが、補聴器の装用によりQOLの改善が可能です。当科では補聴器相談医2名による補聴器適合相談を行っています。
  • 頭頸部腫瘍の診断・治療を行っています。
     頭頸部悪性腫瘍に対しては、当院放射線治療科と東京医科歯科大学頭頚部外科との密な連携により、手術治療・放射線治療・化学療法を行っています。近年頭頸部悪性腫瘍の放射線治療は在院日数の問題から外来通院で対応している施設が増加していますが、当院の性格上、患者様の状態に応じて外来・入院治療両方に対応が可能です。また、狭帯域光観察(NBI(Narrow Band Imaging))が可能な耳鼻咽喉ビデオスコープを導入し、頭頸部領域の早期癌病変の検出に成果を挙げています。

▲このページのトップへ

診療科で取扱う疾患

  • 耳疾患:先天性耳瘻孔,耳垢栓塞,外耳道炎,急性中耳炎,滲出性中耳炎,慢性中耳炎(鼓膜穿孔,慢性 化膿性中耳炎,真珠腫性中耳炎,など),中耳炎術後症,伝音難聴(耳小骨奇形,固着など),急性感音難聴(突発性難聴,低音障害型感音難聴,音響外傷,薬剤性など),慢性または変動・進行性感音難聴(聴神経腫瘍,老人性難聴,騒音性難聴,特発性難聴など),メニエール病,良性発作性頭位眩暈症(BPPV),前庭神経炎,遅発性内リンパ水腫,椎骨脳底動脈循環障害など
  • 鼻疾患:慢性副鼻腔炎,術後性副鼻腔嚢胞,鼻副鼻腔乳頭腫をはじめとする良性腫瘍,アレルギー性鼻炎,鼻中隔彎曲症,肥厚性鼻炎,鼻骨骨折・吹き抜け骨折などの外傷,嗅覚障害など
  • 顔面・口腔疾患:顔面神経麻痺(ベル麻痺,ハント症候群,外傷性顔面神経麻痺など),唾石症,味覚障害,唾液分泌障害,構音障害,舌炎,舌腫瘍,白板症,耳下腺炎,顎下腺炎,耳下腺腫瘍,顎下腺腫瘍,口腔腫瘍など
  • 咽喉頭疾患:急性・慢性扁桃炎,扁桃周囲膿瘍,急性咽頭炎,急性喉頭炎,いびき症,睡眠時無呼吸症候群,声帯ポリープ,声帯結節,ポリープ様声帯,声帯溝症,反回神経麻痺,声帯萎縮,喉頭良性腫瘍,喉頭肉芽腫,喉頭白板症,喉頭外傷,咽喉頭異常感症,嚥下障害など
  • 頚部・気管食道疾患:頚部リンパ節腫脹,甲状腺疾患,気管狭窄,食道異物など
  • 頭頸部腫瘍:喉頭腫瘍,咽頭腫瘍,舌・口腔腫瘍,鼻・副鼻腔腫瘍,耳・側頭骨腫瘍,甲状腺腫瘍,耳下腺・顎下腺などの唾液腺腫瘍(良性から悪性腫瘍まで)

▲このページのトップへ

診療スタッフ紹介

  • 常勤医
    木村百合香副部長、加藤智史、渡邊晶
  • 非常勤医
    岸本誠司(東京医科歯科大学頭頚部外科教授)、奥野秀次、杉浦むつみ、他2名

▲このページのトップへ

副部長紹介

木村百合香(きむら・ゆりか)

耳鼻咽喉科副部長
中耳疾患の外科的治療を得意としております。また、嚥下障害に対しては、 チームアプローチで経口摂食の維持に取り組んでいます。
卒業年次 平成10年
専門 臨床耳科学、嚥下障害の診断と治療
資格
  • 耳鼻咽喉科専門医
  • 気管食道科専門医
  • がん治療認定医
  • 補聴器相談医
  • 身体障害者福祉法第15条指定医

▲このページのトップへ

主な疾患の患者数と検査・手術・治療件数など

主要疾患と入院患者数(平成21年度)
  疾 患 名 人数(人)
1 慢性副鼻腔炎・術後性副鼻腔嚢胞 19
2 頭頸部良性腫瘍 20
3 頭頸部悪性腫瘍 22
4 突発性難聴 13
5 慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎 18
6 顔面神経麻痺 9
7 その他 42
診療科で行った主な手術や処置の件数(平成21年度)
  中央手術室で行われた手術 人数(人)
1 鼻内内視鏡手術 27
2 気管切開術 17
3 鼓室形成術 16
4 ラリンゴマイクロサージェリー 12
5 頸部リンパ節生検 10
6 鼻中隔矯正術 8
7 耳下腺腫瘍摘出術(うち悪性2) 7
8 頸部郭清術 6
9 鼻腔腫瘍摘出術(うち悪性2) 6
10 顎下腺腫瘍摘出術(うち悪性1) 4
11 鼓膜形成術 3
12 甲状腺腫瘍摘出術(うち悪性1) 2
13 その他 14

▲このページのトップへ

疾患診療方針概要

  • 老人性難聴
     内耳の中の感覚細胞や神経細胞が、加齢により消失することなどにより生じます。老人性難聴により日常生活に支障を生じている場合は補聴器をフィッティングします。補聴器外来は月・水・金の午後2時から開設しています。
  • 慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎
     鼓膜穿孔のある慢性中耳炎の場合、加齢とともに感染の持続・抗菌剤の効かない耐性菌の出現など、重症化してくることがあることから、鼓膜穿孔が存在する症例には基本的には鼓室形成術(感染による病巣の除去と音を伝える骨(耳小骨)の連鎖の再建と穿孔した鼓膜の閉鎖を行い聴力を改善する手術)・鼓膜形成術(鼓膜の穿孔を閉鎖する手術)を行います。また、真珠腫性中耳炎は、真珠腫が中耳内の骨組織を破壊する疾患であり、進行により難聴・めまい・顔面神経麻痺などを生じうることから、鼓室形成術を施行します。いずれも、入院期間は8〜10日です。
  • 突発性難聴
     突然発症する、原因不明の高度感音難聴を総称して突発性難聴と呼びます。ウイルス、循環障害など原因に関しては諸説ありますが、現在のところまだ明らかになっていません。耳の中の内耳(蝸牛・前庭・三半規管)という器官に何らかの異常が生じています。高齢者の場合は、加齢による生理的な内耳の予備能低下もあり、治癒あるいは著明改善の確率は若年者に比し低く、40%台に留まりますが、発症後1週間以内の治療が有効とされています。治療は副腎皮質ステロイド全身投与と循環改善剤の点滴・内服を行い、1週間の入院です。
  • 顔面神経麻痺
     顔面神経は他の脳神経と違い、側頭骨の中の顔面神経管という細い骨の管の中を走行するため、神経に炎症が生じた場合、浮腫から神経が絞扼されて、麻痺を生じます。
    (1)Bell麻痺:原因不明の顔面神経麻痺の総称です。循環障害やウイルス感染など諸説がありますが、現在は単純ヘルペスウイルスの再活性化によるとする説が有力です。
    (2)ラムゼイハント症候群:帯状疱疹ウイルスの再活性化によるもので、耳介の水疱・発赤やめまい・難聴といった内耳障害を伴います。
     いずれも、糖尿病の方に発症することが多いと言われています。
     治療は、副腎皮質ステロイド全身投与と抗ウイルス剤・循環改善剤の内服を行い、さらにMRIによる部位診断・顔面神経刺激検査による予後診断により予後不良が予測される症例には顔面神経管開放術をあわせて施行することがあります。約一週間の入院です。

  • 慢性副鼻腔炎
     昔は、"蓄膿症"と呼ばれていた病気で、以前は歯茎を切って手術を行っていました。CTやアレルギー検査により、アレルギーが関与するタイプ(アレルギー性副鼻腔炎、好酸球性副鼻腔炎)や"かび"が関与するタイプ(真菌(しんきん)性副鼻腔炎)を分類します。マクロライドという抗菌剤の少量長期療法を基本とし、3ヵ月程度の内服療法で改善が見られない場合は、手術を行います(片側だけの病変や真菌感染・腫瘍が疑われる場合、および高度な炎症がある場合は早期に手術を行うこともあります)。現在はほとんどの方に対し全身麻酔下で内視鏡を用いて鼻の中より手術を行っていますが、CT画像上にリアルタイムで術前に撮影されたCT画像上に手術器具の先端をリアルタイムで表示し目的部位に正しく導く画像支援ナビゲーションシステムを導入し、眼窩や頭蓋との境界を明示することでより安全な手術が可能です。約一週間の入院です。

のど

  • 声帯ポリープ・ポリープ様声帯
     声がれを生じる病気です。音声の安静や禁煙指導、消炎剤の内服などで保存的治療を行いますが、声がれが改善しない場合は手術を行います。全身麻酔で行い、二泊三日の入院ですが、手術後一週間発声を禁じ声帯の安静を保ちます。
  • 嚥下障害
     脳血管障害や神経筋疾患、頭頸部腫瘍などさまざまな原因で「のみこみ」の障害が起こります。神経学的診察と嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査などにより、原因不明の嚥下障害の診断や、脳梗塞後などの嚥下障害に対しては、食事形態・摂食方法の指導やリハビリテーション介入の適応の判断、外科的治療(嚥下改善手術、喉頭形成術や誤嚥防止手術)を行っています。嚥下障害の背景は多岐にわたることからチームアプローチが重要ですが、リハビリテーション科、神経内科、歯科口腔外科、言語療法士が密に連携を取り合い、病態に応じた全人的な診断・治療を行い、誤嚥性肺炎の防止・経口摂食の維持に努めています。

頭頸部腫瘍

  • 頭頸部がん
     頭頸部がんは耳鼻咽喉科領域のすべての領域に発生します。これらの領域は日常生活に深く関与する機能(食事を摂取して食道へ運ぶ機能、呼吸をして声を出す機能など)を有する所です。頭頸部がんを治療するにあたり、患者さんの治療後の状態(QOL、quality of life)を考えた治療を行う必要があります。一番大切なのは早期発見・早期治療です。当院ではNBI内視鏡(特殊光によりがんを早期に発見できる)を導入し、早期がんの診断に力を入れています。鼻腔・咽頭・喉頭に発生するがんは、扁平上皮がんという比較的放射線治療に感受性の高いがんですので、早期がんの場合は放射線治療が有効ですが、進行癌の場合は手術治療・放射線治療・化学療法を併用しています。尚、当院には形成外科が無いため、進行癌に対する再建手術が必要な患者さんは、大学病院やがん専門病院にご紹介しています。手術の場合は入院は1〜2週間、放射線治療や化学療法の場合は、1〜2ヵ月の入院です。
  • 甲状腺腫瘍
     のど仏の下にある甲状腺に発生する腫瘍です。良性か悪性かの鑑別を超音波検査や穿刺吸引細胞診で行い、治療方針の決定を行います。一般に、甲状腺がんは若年よりも高齢者の方が予後が悪く、良性腫瘍と診断される場合も、3cmを超える場合は摘出後悪性と診断されることがあることから摘出をお勧めしています。一方で、悪性であっても、1cm以下の微小乳頭がんは摘出をしなくても95%以上が5年以上不変であるとされていることから、手術をせずに定期的に経過観察を行い、拡大するようであれば摘出手術を行っています。手術の場合、入院は8〜10日間です。
  • 唾液腺腫瘍
     つばを作る唾液腺に生じる腫瘍で、多くは耳の下にある耳下腺、顎の下にある顎下腺に生じます。耳下腺腫瘍の20〜30%、顎下腺腫瘍の30〜40%は悪性であるとされており、また良性とされる腫瘍の中にも多形腺腫というタイプは後に5〜10%が悪性化するといわれています。唾液腺がんは放射線治療や化学療法はあまり有効でないとされていることから、顎下腺腫瘍や耳下腺多形腺腫は摘出をお勧めしています。手術の場合、入院は8〜10日間です。

診療科一覧へ戻る


▲このページのトップへ

2011.11.1