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膠原病・リウマチ科

診療科の概要と特徴

当科のスタッフは膠原病リウマチ専門医指導医が1名、東京医科歯科大学 膠原病・リウマチ内科より医師が2名派遣されており、3名で診療しています。

  • 高齢発症の早期関節リウマチに対する内科的診療の経験が豊富です。抗リウマチ薬により関節炎のコントロールを積極的にすることで、疼痛を改善させ、骨破壊の進行と生活機能の低下を防ぐことを目標に治療を行っています。外来には30代から80代まで幅広い年齢層の関節リウマチの患者さんが通院されています。
  • 保険適応のある生物学的製剤はすべて当院でも使用可能です。抗リウマチ薬の内服治療が無効の場合、生物学的製剤を導入し、関節炎をコントロールしています。関節リウマチでは今後さらに新規治療法が開発されますが、最新の治療が提供できるよう対応しております。
  • 関節リウマチに合併した肺病変、神経病変、皮膚病変などの関節外病変に対する診断と治療を行っています。重症度に応じてステロイド療法、免疫抑制剤、生物学的製剤を選択し、関節外病変を安定させます。
  • 各診療科と連携しながら、血管炎症候群に関連した肺病変、腎病変、消化管病変、心病変、神経病変、皮膚病変の診断と治療を行っています。治療法としては、ステロイド療法、免疫抑制剤、血漿交換を重症度に応じて選択しております。
  • 皮膚筋炎、多発性筋炎に関連した筋病変、肺病変の診断と治療を行っています。筋炎の診断の際は当院の神経内科、神経病理医と連携して診断を行います。治療法としては、ステロイド療法、免疫抑制剤、γグロブリン大量療法を重症度に応じて選択しております。
  • 強皮症の患者さんの皮膚病変、間質性肺炎、肺高血圧、消化管病変の管理を行っております。肺高血圧の合併に関しては循環器内科と連携して診療します。
  • 全身性エリテマトーデスの腎病変、中枢神経病変、血液病変、肺病変、皮膚病変の診断と治療、混合性結合組織病の皮膚病変、肺病変等の臓器病変に対する診断と治療を行っています。また、リウマチ性多発筋痛症、成人スティル病、シェーグレン症候群、IgG4関連疾患、ベーチェット病についても治療しております。
  • 感染症科と連携しながら不明熱、原因不明の炎症反応高値に対する精査を行っています。

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診療科で取扱う疾患

関節リウマチ、悪性関節リウマチ、血管炎症候群(顕微鏡的多発血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫性血管炎、側頭動脈炎、高安病、アレルギー性紫斑病など)、皮膚筋炎、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス、強皮症、混合性結合織病、抗リン脂質抗体症候群、リウマチ性多発筋痛症、ベーチェット病、成人スティル病、シェーグレン症候群、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、血清反応陰性脊椎関節症、好酸球性筋膜炎、再発性多発軟骨炎、ウェーバークリスチャン病など。

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副部長紹介

  • 常勤医
    杉原毅彦副部長、平野史生
  • 非常勤医

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副部長紹介

杉原毅彦(すぎはら・たかひこ)

膠原病リウマチ内科副部長
高齢発症関節リウマチに対する生物学的製剤の使用経験が豊富です。
関節リウマチと血管炎症候群についての厚生労働省の研究班に属し、日本における標準的治療の確立を日々目指しています。皮膚筋炎多発性筋炎の研究にも従事しています。
卒業年次 平成9年
専門 関節リウマチ、その他の膠原病疾患
資格
  • 日本リウマチ学会認定専門医、指導医、評議員

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主な疾患の患者数と検査・手術・治療件数など

主要疾患と入院患者数
  疾 患 名 延べ人数(人)
1 関節リウマチ 106
2 血管炎症候群 28
3 悪性関節リウマチ 4
4 皮膚筋炎・多発性筋炎 12
5 リウマチ性多発筋痛症 5
6 強皮症 2
7 lgG4関連疾患 3
8 成人発症スティル病 4
9 強直性脊椎炎 2
10 全身性エリテマトーデス 4

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疾患診療方針概要

  • 関節リウマチとは
     関節リウマチは、免疫が自分自身を攻撃することによって関節内で炎症がおこり、関節の腫れ・痛み・動かしにくさが出現します。放置すると、軟骨・骨が徐々に破壊され、関節機能が低下し、趣味、家事や仕事の継続が困難となります。さらに進行すると、基本的な日常生活動作が制限されるようになり、一部の患者さんは寝たきりになります。また、動脈硬化が進行し、心筋梗塞の危険が高くなります。肺病変を合併し肺炎にかかりやすくなる場合もあります。悪性リンパ腫の合併のリスクも上がります。高齢者の関節リウマチの患者様は、若いかたよりも早期から生活機能が低下しやすく、現在確立された有効な治療を受けて、早期からしっかり病気をコントロールする必要があります。
  • 関節リウマチの診断
     触診により関節リウマチに特徴的な関節腫脹を評価します。加えて血液検査によりリウマトイド因子、抗CCP抗体、CRP、赤沈を測定します。またレントゲンにより関節リウマチに特徴的な骨変化の有無を評価します。関節リウマチに特徴的な骨変化がレントゲンで認められれば関節リウマチと診断されます。早期例では骨変化を認めないことが多く、触診による腫脹関節、疼痛関節の評価、血液検査、必要に応じてMRIによる関節の評価を加えて、総合的な評価により、関節リウマチの早期診断を行います。今後関節エコーによる画像診断も開始する予定です。
  • 関節リウマチの治療
     関節リウマチの治療方法はここ数年で大きく変化し、骨破壊の進行を抑えるための様々な抗リウマチ薬が使用できるようになりました。以前は最初にアザルフィジンやリマチルという抗リウマチ薬が使用されましたが、残念ながら無効の場合が多くあります。特にリウマトイド因子陽性、抗CCP抗体陽性、レントゲン上骨破壊進行を認めるような関節リウマチは予後不良であることが分かっており、リウマトレックスというお薬を使用します。リウマトレックスは60%程度の患者さんには有効ですが無効の場合は生物学的製剤という新しいお薬を使用します。現在わが国で使用できる生物学的製剤を表1に示します。これらのお薬は、関節の炎症を改善する効果に加え、関節破壊を抑える働きに優れております。このお薬により90%以上の患者さんは関節リウマチの進行を止めることができます。
     抗リウマチ薬や生物学的製剤には弱点があります。使用される頻度の高い薬剤に関して注意すべき合併症を表2に示します。関節リウマチの治療は免疫をある程度抑える必要があるため、関節リウマチでない患者さんよりも感染症を合併しやすくなります。特にステロイド療法を併用すると感染症の合併のリスクが高まり骨折しやすくなり糖尿病を悪化させ動脈硬化も進行しやすくなります。日常生活機能が急速に悪化している場合は即効性のあるステロイドを使用する場合がありますが、抗リウマチ薬が効果を示した後に減量し、できるだけ中止をします。
表1  関節リウマチに使用されている生物学的製剤
  分類 商品名 一般名
1 抗TNFα・抗体 レミケード インフリキシマブ
2 可溶性TNF受容体 エンブレル エタネルセプト
3 ヒト型抗TNFα・抗体 ヒュミラ アダリムマブ
4 ヒト型抗TNFα・抗体 シンポニー ゴリムマブ
5 抗IL-6受容体抗体 アクテムラ トシリズマブ
6 CTLA4-Ig オレンシア アバタセプト
表2 関節リウマチの治療上、注意すべき合併症
薬剤名 主な副作用
リマチル たんぱく尿、間質性肺炎、肝障害、血球障害、アレルギー
アザルフィジン アレルギー、肝障害、血球減少、間質性肺炎
リウマトレックス 肝障害、血球障害、口内炎、感染症、ニューモシスチス肺炎、間質性肺炎
プログラフ 腎障害、糖尿病悪化、高血圧悪化、肝障害、血球障害、間質性肺炎、感染症
生物学的製剤 感染症、結核、ニューモシスチス肺炎、間質性肺炎、肝障害、血球障害、アレルギー
  • 関節リウマチ以外の膠原病の診断
    表3に示すような発熱、関節症状、皮膚症状、頭頸部病変、肺病変、心病変、腎病変、神経病変、血液病変、消化管病変が多彩に出現します。疾患ごとに特徴的な症状が出現します。各臓器の評価、血液検査により疾患に特異的な自己抗体を測定し、診断を行います。
表3 膠原病の多彩な症状
部位 症状 対応する膠原病リウマチ疾患
全身症状 発熱、全身倦怠感、体重減少 血管炎症候群、高齢発症関節リウマチ、悪性関節リウマチ、リウマチ性多発筋痛症、成人スティル病、皮膚筋炎、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス、混合性結合織病、ベーチェット病など
頭頸部 強膜炎、ぶどう膜炎
角膜炎、虚血性視神経症両側副鼻腔炎、両側中耳炎、口腔内アフタ、潰瘍側頭動脈肥厚、圧痛、顎跛行、顔面紅斑
悪性関節リウマチ、血管炎症候群、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、ベーチェット病、シェーグレン症候群
間質性肺炎、胸膜炎、肺胞出血、肺結節影、縦隔気腫 血管炎症候群、皮膚筋炎、多発性筋炎、関節リウマチ、悪性関節リウマチ、強皮症、全身性エリテマトーデス、混合性結合織病、シェーグレン症候群、IgG4関連疾患
心臓 心外膜炎、心筋炎、肺高血圧、動脈瘤 血管炎症候群、悪性関節リウマチ、強皮症、全身性エリテマトーデス、混合性結合織病、ベーチェット病
消化管 虚血性腸炎、回盲部潰瘍肝障害、胆嚢炎、逆流性食道炎、嚥下機能低下、腸管蠕動低下、後腹膜線維症 血管炎症候群, 悪性関節リウマチ、ベーチェット病、強皮症、皮膚筋炎、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス、成人スティル病シェーグレン症候群、IgG4関連疾患
腎臓 糸球体腎炎、間質性腎炎腎血管病変 血管炎症候群、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、IgG4関連疾患
神経 多発性単神経炎、中枢神経病変 血管炎症候群、 悪性関節リウマチ、ベーチェット病、全身性エリテマトーデス、抗リン脂質抗体症候群
血液 溶血性貧血、血小板減少、白血球減少 全身性エリテマトーデス、混合性結合織病、抗リン脂質抗体症候群、成人スティル病、膠原病関連血球貪食症候群
皮膚 紅斑、紫斑、多発性皮膚潰瘍、四肢末端梗塞 血管炎症候群、 悪性関節リウマチ、皮膚筋炎、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス、強皮症、抗リン脂質抗体症候群、ベーチェット病、シェーグレン症候群、ウェーバークリスチャン病
  • 関節リウマチ以外の膠原病の治療
     各疾患とも関節リウマチ同様に自己疾患であり、免疫が自分自身の臓器を攻撃するために多彩な症状が出現します。基本的な治療は自己を攻撃する免疫反応を抑制することです。最もスタンダードな治療は中等量から大量のステロイド療法です。関節リウマチと異なりステロイド療法を施行しなければ臓器障害の改善は難しく、臓器障害の程度に応じてステロイドの投与量を決定します。ステロイドは投与量が多いほど免疫が抑制され感染症にかかりやすい状態になります。ステロイドの副作用は表4にまとめます。臓器障害の進行抑制は初期治療が重要であり、副作用の管理も必要なことから治療は入院で行います。ステロイド療法のみでは病気の進行を抑制することが難しい場合もあります。病気の進行を抑制できないと、肺と心臓の障害の進行は生命にかかわり、腎臓の障害が進行すると血液透析、神経の障害では永続的な麻痺、意識障害、皮膚の障害では四肢の切断と、極めて重篤な病態へ進行することがあります。そこでステロイド療法のみで臓器障害の進行を抑制できない場合は免疫抑制剤をできるだけ早い時期に併用します。また病気によっては血しょう交換あるいはγグロブリン大量療法といった特殊な治療法を併用することもあります。臓器障害の進行が止まり、病状が安定したらステロイドは減量を開始します。しかし、ステロイド減量中に臓器障害が再発することがあります。定期的な検査を行い再発していないことを確認しながらステロイドを減量する必要があります。副作用を恐れて自己判断でステロイドを減量あるいは中止すると、再発により臓器障害が急に悪化します。また、副腎不全をおこし危険な状態になることもあります。ステロイドは必ず主治医の指示通りに内服することが大切です。また、感染予防が大切で規則正しい食事と十分な睡眠をとることが大切です。食事に関しては生食に注意が必要です。人ごみではマスクをして、手洗いとうがいの習慣をつけましょう。インフルエンザワクチンは毎年受けて下さい。高齢者は肺炎球菌ワクチンの接種もお勧めいたします。
表4
主な副作用 具体的内容
感染症 細菌感染症(肺炎、尿路感染、敗血症、皮膚感染症、膿瘍など)
結核、非結核性抗酸菌症
真菌感染症(ニューモシスチス肺炎、アスペルギルス感染症など)
ウィルス感染症(サイトメガロウィルス、帯状疱疹、B型肝炎など)
骨、筋肉への影響 骨粗鬆症、骨折(脊椎圧迫骨折、大腿骨頸部骨折など)、骨壊死、ステロイド性の筋委縮
創傷治癒の悪化 胃潰瘍、十二指腸潰瘍の悪化、皮膚潰瘍の悪化、気胸
成人病 糖尿病悪化、高血圧悪化、心負荷、ステロイド性浮腫
精神症状 不眠、うつ病の悪化、ステロイド精神病、不穏、認知症の悪化
その他 白内障、緑内障の悪化、ステロイド性浮腫、中心性肥満、脱毛

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2011.10.18