平成24年4月6日
地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター
東日本大震災では被災地に大きな被害がありましたが、東京都でも地震や計画停電などによる被害が生じていました。東京都健康長寿医療センター研究所では、今回の震災にともない都内の在宅高齢者にどのような被害が生じたのかを明らかにするために、都内在宅サービス事業所を対象とした調査を行いました。
このたび、その調査結果がまとまりましたのでお知らせします。
1.調査の目的
震災により都内の在宅高齢者に生じた被害を明らかにするとともに、在宅サービス事業所の対応状況、サービス供給体制の被害などを明らかにして、今後の災害対策を講じるための基礎資料を得ること。
2.調査対象・方法
- 東京都内の地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、在宅療養支援診療所など介護・医療の事業所1681ヶ所、回答率 38.5%
- 自記式調査票を用いた郵送調査
3.調査期間
平成23年6月
4.主な調査結果
(1) 高齢者への被害
- 災害をきっかけに、高齢者の状態が悪化した例があると回答した事業所は25.7%にのぼり、さらに死亡に至った事例が8件、在宅生活を継続できなくなった事例が21件報告された。
(2) 事業所の対応
- 臨時の安否確認(74.3%)、家族への連絡(47.8%)、関係機関との連携(40.8%)、臨時のサービス提供(15.4%)など、事業所の被害にも関わらず高齢者の状況に合わせた対応がなされていた。
(3) 結論・提言
- 元気な高齢者が災害をきっかけに要援護となることもあり、地域包括支援センターに介護を要しないものを含む地域の独居高齢者、高齢者世帯などの個人情報共有のための仕組みが必要
- 通所系事業所を高齢者の一時的保護のための泊まり機能や物資の備蓄機能などを持つ災害拠点とすること、在宅医療機器利用者への定期的な非常時の機器操作訓練が必要
- 深刻な映像の反復視聴が過度の不安を誘発することへの配慮が必要など
5.報告書のダウンロード
東京都内における在宅サービスの災害対応に関する調査報告書(pdf) 3.4MB
※基本的にA4サイズですが、A3版の図が入っているので、印刷の際にはご注意下さい。