筋ジストロフィー症の原因となる糖鎖構造を解明

東京都健康長寿医療センターの遠藤玉夫副所長、萬谷博研究副部長、理化学研究所の山口芳樹チームリーダーらの共同研究グループは、先天性筋ジストロフィー症の原因遺伝子(TMEM5)の機能を解明し、発症に関わる糖鎖の構造を明らかにしました。

先天性筋ジストロフィー症は全身の筋力が低下する遺伝子疾患であり厚生労働省の難病に指定されています。私たちは以前に、糖鎖の異常を原因とするタイプの先天性筋ジストロフィー症を発見し、発症のメカニズムを調べてきました。これまでに18種の原因遺伝子中17種の機能が明らかになりましたが、これらの遺伝子が作る糖鎖の構造には未だ不明な部分があり、残る1種の原因遺伝子TMEM5の機能とこれにより作られる糖鎖構造の完全解明が期待されていました。

今回、TMEM5がこれまで解明されていなかった部分の糖鎖をつくる糖転移酵素であることを明らかにしました。さらにTMEM5によりつくられる糖鎖の構造を詳細に解析し、先天性筋ジストロフィー症の発症に関わる糖鎖の完全な構造を明らかにしました。この糖鎖は脳と筋肉の発達や機能において重要な働きをしていると考えられています。本研究により、これまで部分的にしか分かっていなかった糖鎖の構造が完全に明らかになったことから、先天性筋ジストロフィー症の研究の飛躍的な進歩が期待されます。

本研究は、米国生化学会誌「The Journal of Biological Chemistry」に掲載されるのに先立ち、オンライン版(10月12日付)に掲載されました。

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