より悪性化した前立腺がんの診断、治療の新しい標的PSFの発見―悪玉男性ホルモン受容体V7をつくる司令塔をターゲットとした治療

東京都健康長寿医療センター研究所の井上聡研究部長、高山賢一研究員は、従来治療が効かなくなったより悪性の前立腺がんへの新戦略として、悪玉男性ホルモン受容体V7(ヴイセブン)をつくる司令塔PSF(ピーエスエフ)とNONO(ノノ)をターゲットとした診断・治療を提唱しました。進行した難治性の前立腺がんでは、V7をはじめ異常なホルモン受容体が増加することが以前より注目されていましたが、今回、この悪性化の際にRNA結合タンパク質PSFとNONOが増加することによって、RNAの成熟とホルモン受容体の異常をきたすことを初めて明らかにしました。さらにこれらRNA結合タンパク質PSFとNONOが、がんの新しい診断、治療標的となりうることも証明しました。この研究成果は、前立腺がんの今後の治療法の開発や再発・難治化の病態解明に大きく貢献するものと期待されます。本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の「次世代がん医療創生研究事業 (P-CREATE)」の支援を受けて行われたものであり、米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of USA(PNAS)」に掲載されるのに先立ち、9月11日の週にオンライン版に発表されます。

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