絵本読み聞かせボランティア活動で加齢に伴う海馬の萎縮が抑制

東京都健康長寿医療センター研究所の藤原佳典研究部長と石井賢二研究部長らの研究グループは、幼児・児童に対する絵本の読み聞かせボランティア活動が、高齢者の加齢に伴う海馬萎縮に抑制的に働く可能性があることをMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)を使った縦断研究によって明らかにしました。

藤原研究部長の研究チームでは、2003年に高齢者ボランティアが子どもへの絵本読み聞かせを行う世代間交流プロジェクト「Research of Productivity by Intergenerational Sympathy (REPRINTS)」を立ち上げ、活動の支援と共に追跡調査を重ねて、その心身機能への効果を検証してきました。調査では、脳構造を調べることができるMRI検査も行ってきました。そこで初回検査時にMRI検査を受けたREPRINTS projects参加者および読み聞かせを行わず健康調査だけに参加する健康モニター(両者ともに自由参加)のうち、6年後にもMRI検査を受けた者を対象に、海馬の萎縮がどの程度進んでいるか調べました。その結果、健康モニターでは正常範囲ながら加齢に伴い統計学的に有意な海馬の萎縮が認められたのに対し、REPRINTS projects参加者では、海馬の萎縮が抑制されていることが明らかになりました。また、このような6年間の海馬萎縮の程度は認知機能検査の得点変化と強く相関していました。

この研究成果は、同研究所の桜井良太研究員によりまとめられWileyの国際雑誌「International Journal of Geriatric Psychiatry」オンライン版(8月31日付)に掲載されました。

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