センター長挨拶

 令和5年度は、withコロナからpostコロナを見据えて第9期介護保険事業計画に備え、多忙な一年になることとお察しします。
 
「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」報告書 (2019 年 12 月)以降、通いの場の取組を始めとする一般介護予防事業は、住民主体を基本としつつ、従来の介護保険の担当部局の取組にとどまらず多様な関係者や事業等と連携し、充実を図ることが必要と示されています。
 そこでは、介護予防に資する社会参加活動として、就労やいわゆる就労的活動といった有償活動からボランティア、趣味、生涯学習、多世代交流、防災、見回りまで幅広く捉えられています。とはいえ、行政の縦割り構造に加えて福祉保健分野をバックグラウンドとする担当者の専門性から、他の部局や異分野の関連団体との連携に窮しておられるのが実情だと思います。それ故に顔なじみの地縁組織やボランティアといった一部の理解ある住民の貢献に依存しがちになっているのではないでしょうか。
 しかし、これらのありがたい住民に継続性や安定性を求めることには限界があります。
 私は、他府県の自治体へ多様な通いの場についての講演や研修会に招かれる際に、必ずと言ってよいほど「東京は、いいですね。連携してくれる企業や事業所などいっぱいありますよね」と羨望のまなざしを向けられます。こうした埋もれる宝-民間企業・事業所との連携に改めて注力すべきだと思います。
 
一方で、民間企業・事業所との連携についてはイメージすら湧かないとの声も現場から聞こえます。しかし、スーパーマーケットやスポーツジム、金融機関など多くの事業所は全国ネット型であろうが、地元密着型であろうが、企業の社会的責任・価値が求められる時代にあって、より多くの住民の支持を得られるか、それが、いずれはビジネスに還元できるか、地域連携に活路を見出そうと懸命です。彼らは、委託や協力お願いの相手ではなく、ビジネスパートナーになりうるのです。
 これら新たな連携の好事例のノウハウはなるほど、理にかなった面白いものばかりです。スタッフ一同、目からウロコの発見の機会を皆さまにナビゲートして参ります。どうぞよろしくお願い致します。

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令和5年5月
東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター長

藤原佳典