風邪をひくと、汚い色の鼻水が出たりしますが、これが急性副鼻腔炎の状態です。
一般的には内服治療で改善します。しかし、適切な治療を受けなかったり、治療を受けても改善せずに、3ヶ月以上症状が持続すると慢性副鼻腔炎の状態に移行します。
慢性副鼻腔炎には、細菌により生じるもの、アレルギー反応から生じるもの、歯科領域の疾患から生じるもの、真菌が原因のものなど、様々な要因で生じる可能性があります。
慢性副鼻腔炎の中でも気管支喘息の合併が多く、投薬治療の効果に乏しく、手術を行っても再発をしやすい好酸球性副鼻腔炎という疾患があり、現在難病に指定されています。
細菌が原因の場合は、汚い色の鼻水がでる、汚い痰がでる(後鼻漏)などが一般的な症状ですが、頬部痛や前頭部痛、頭痛などが生じる場合もあります。
アレルギー性のものは、花粉症などを持っている方に生じます。歯科領域からは、歯周病や歯槽膿漏、歯根嚢胞が原因となり、細菌が原因の場合と同様の症状がでます。真菌が原因の場合は、高齢の方、ステロイドの内服治療を行っている方に生じやすいです。
単純レントゲン撮影、CT、MRI等の画像診断が中心となります。
その他には、鼻ポリープの有無を確認するために、内視鏡検査を行ったりします。
また採血で、アレルギー反応に関与する好酸球、IgE値、特異的抗体価などを調べたりします。
正常な方のCT所見
好酸球性副鼻腔炎の方のCT所見
一般的な治療は、抗生剤の一種であるマクロライド系抗生剤の少量長期投与です。
内服治療を3~6ヶ月程度継続しても改善に乏しい場合は、内視鏡手術を行う事になります。
歯科領域の疾患が原因の場合は、歯科治療も並行して行います。
真菌が原因の場合は、有効な治療薬がないので、内視鏡手術を行う事になります。好酸球性副鼻腔炎の場合は、経口ステロイド薬が有効な事が多いですが、副作用の懸念もあり、最近は生物学的製剤を使用することがあります(適応にはいくつか条件があります)。
なるべく風邪をひかないように、日頃からの体調管理が大切です。
風邪を引いた場合は、適切な治療を適切な日数受けるようにしてください。
しっかり対応をしていても、慢性副鼻腔炎に罹患することはありますので、症状が気になったら早めに耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。