第25回関東ホルモンと癌研究会 研究奨励賞を受賞しました。

研究成果
2025年05月20日

老化機構研究チーム システム加齢医学 研究員の竹岩俊彦が第25回関東ホルモンと癌研究会 研究奨励賞を受賞しました。

発表タイトル

糖転移酵素POMGnT1とその標的であるdystroglycanは高異型度漿液性卵巣がんの増殖と生存を調節する

発表者

老化機構研究チーム システム加齢医学 研究員 竹岩 俊彦

発表内容

 卵巣がんは女性ホルモンと関連する婦人科がんのひとつであり、高齢女性の健康長寿とQOLの向上のために、卵巣がんの新しい診断・治療法の開発は重要な課題です。
 タンパク質の糖鎖修飾は、がんを含む様々な疾患に関わります。当センター 老化機構研究チーム 分子機構テーマの萬谷博士らが同定した糖鎖修飾酵素であるO-linked-mannose β-1,2-N-acetylglucosaminyltransferase 1 (POMGnT1)は、細胞膜に存在するα-dystroglycanタンパク質の糖鎖修飾に関わり、先天性筋ジストロフィーの発症および膠芽腫の悪性化に関わります。その一方で、卵巣がんにおけるPOMGnT1の役割は不明でした。本研究において、分子機構テーマの今江研究員と連携して、卵巣がんの最も主要な組織型である高異型度漿液性卵巣がんの病態におけるPOMGnT1の役割を解析したところ、その高発現が漿液性卵巣がん患者の予後不良と有意に相関することが示唆されました。さらに、卵巣がん細胞を用いた解析によって、POMGnT1がdystroglycanを介して、高異型度漿液性卵巣がんの増殖を調節することが示唆されました。今後、このメカニズムの詳細を解明することにより、高異型度漿液性卵巣がんの新しい診断・治療法の開発に繋がることが期待されます。

竹岩俊彦研究員

賞状

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