もの忘れを予防するには(その1)

もの忘れを予防するには(その1)

 予防するためには、物忘れになりやすい要素(危険因子)を知っておくことが重要です。医学の世界で、評価の高いランセットという雑誌に、認知症の35%は予防可能な要素であるという研究結果が発表されています。なんだ、たったの1/3かと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、生活習慣病やガンなど1/3も予防できる病気はそれほど多くありません。高血圧でも血圧コントロールによって、脳卒中や心筋梗塞などを防ぐ低減効果は3割を超えません。

1) 自分の促進因子を知る

 中年期に高血圧、肥満があれば早めに生活習慣を変え、必要に応じてかかりつけ医に相談しましょう。
 糖尿病は何歳でも認知症の危険因子です。しっかり治療しましょう。
 心の元気がない方は、一度心理検査などで評価し、必要に応じたアドバイスを受けましょう。
 声など聞こえにくくなった方は、聴覚検査を受け、診断に応じた環境整備や聴覚補助を受けましょう。
 睡眠障害、いびき、夜間に不穏な行動がある、夢見が悪いなどの症状があれば、もの忘れ外来や脳神経内科の外来をおすすめします。

次回は防御因子のお話です。

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