第45話 折々の記(その1)

折々の記(その1)

認知症基本法施行後半年をすぎ
朗報:認知症減少が本格化し始めた!


 2024年1月1日、認知症基本法が施行された(成立は2023年6月)。
 謳い文句は「共生のための」であり、不十分な理解、払拭未だしの偏見(Stigma)、受け皿はあっても、自然に地域で暮らすことに課題がある包摂(Inclusion)を省庁横断的に、自治体が年度計画を立て、関連団体に基本行動計画のヒアリングを行って推進しようとしてきた。
 その志はよしとしよう。基本統計の不備、科学技術への研究投資など大きな課題を提起したが、まず久しぶりに、認知症の現状について九州大学二宮教授によるコホート研究の推計が出た(厚生労働省科学研究費)。
 朝田教授らの班研究の成果が、本邦の認知症有病率の根拠となっている。人口比例でないコホートの集計で、全国のデータを反映しているかについては、特に大都会のデータが乏しく大きな課題であった。
 今回、大阪府吹田市は無作為抽出、その他の地域は悉皆調査である。やはり、大阪のデータ数は少ない。また、平均年齢は同じだが、吹田市の認知症有病率は今回の調査平均(10.9%)の半分(5.5%)である。日本の人口の6割以上が大都市圏に居住していることから、今回の認知症有病率からは300万人以下が下位推計値と考えられる。
 2023年は1951年以来、初めて高齢者人口の減少が始まった年である。今後、ますます認知症の減少は加速するだろう。
 当面、地域で見る力が足りないため、介護施設の認知症は減ることはないだろうが、以前6ヶ月待ちは当たり前であった「物忘れ外来」は各地で、待ち日数は激減している。