超百寿者の血漿タンパク質糖鎖からみた健康長寿の秘訣

健康長寿の秘訣を探るため、私たちは105歳を超えてなお健康を維持している超百寿者の血漿から、血漿タンパク質の糖鎖を切り出し、その構造解析を行った。私たちの血液に含まれる血漿タンパク質は、そのほとんどに「糖鎖」が付いているが、「糖鎖」の構造は老化や病気など健康の変化を反映して変化し、がんなど様々な疾患のマーカーとなることが知られている。そこで、糖鎖が「健康長寿」のマーカーとなるのではないかと考え、超百寿者の血漿タンパク質に含まれる糖鎖の構造を、液体クロマトグラフィー-質量分析装置(LC-MS)及び多変量解析(O-PLS)を用いて解析した。若齢対照群(20-30歳)や老齢対照群(70-80歳)の糖鎖構造と比較したところ、超百寿者では高分岐かつ高シアル酸含有糖鎖が増加していることが明らかになった。これらの糖鎖は、炎症に伴って増加する糖鎖であることが知られており、また実際に超百寿者ではCRPなど炎症マーカーの増加が認められた。以上より、超百寿者は加齢による慢性炎症の亢進そのものを抑えているのではなく、糖鎖の構造変化などを通して、亢進する慢性炎症にうまく対応しているところ、すなわち免疫機能が維持されているところに、健康長寿の秘訣があることを示唆した。

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