健康長寿医療研修センター長挨拶

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健康長寿医療研修センター長
荒木 厚     

健康長寿医療研修センターのミッション

高齢者における医療、介護、福祉の分野は多くの職種が協働で、複雑な高齢者の問題を解決していく必要がある。近年、行政においても認知症やフレイルの対策を推進しているが、その効果を最大にするためには、高い専門性を持った医療と介護の専門職の関わりが欠かせない。

健康長寿医療研修センターは以前から病院では初期研修医や専攻医の教育や医師の老年医学、看護師の老年看護の研修に力を入れている(図)。また、研究所とともにフレイルサポート医、フレイルサポート栄養士、介護予防(主任)運動員、フレイルサポートナースの研修などのフレイル予防対策の研修を行っている。東京都などからの委託で、介護予防・フレイル予防推進支援センター、後期高齢者保健事業と介護予防一体的事業の研修などを行ってきている。さらに、認知症支援推進センターと認知症疾患医療センターが認知症関連の研修を行っている。国際貢献の事業として海外からの専門職の研修や見学も受け入れている。

こうした病院と研究所の研修事業をまとめて、最新の老年医学や老年学の知識を持って、実践・応用できる人材を多く育成することが健康長寿医療研修センターのミッションである。
研修の対象となるのは医師、歯科医師、看護師、保健師、薬剤師、栄養士、理学療法士、作業療法士、心理士、公認心理師などの医療職、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、ケアマネージャーなどの介護職、医療、介護の職種をめざす学生、および医療、介護、福祉、保健、健康増進などの関わる行政職である。こうした多職種のチームで仕事するためのスキルも重要な研修項目の一つである。

とくに、医療、介護の知識を必要とするフレイルや認知症の研修に関しては最新の知識を常にUpdateしながら独自のプログラムを作成しているので、ぜひ活用していただければ幸いである。また、我が国においては、高齢者の生物学的側[i]面、心理学的側面、社会学的側面、疾患との関係、高齢者とAI、DX、高齢者のwell-beingについて系統的に「老年学」を学べる組織はまだ少ない。健康長寿医療研修センターは、病院と研究所のこれまで得られた知見と経験を生かして、より充実した「老年学」の研修を行っていきたい。