認知症新薬レカネマブの投与に関する記者ブリーフィング開催報告

お知らせ
2024年01月18日

 この度、東京都健康長寿医療センターが治験段階から研究・開発に協力してきた認知症の新薬レカネマブが、2023年1220日に発売されたことを受け、当センターではこの新薬を投与する体制をいち早く整え、外来受診予約の受付を開始しております。
 この取り組みは、2023年1222日の小池東京都知事の定例記者会見で取り上げられました。世間的な注目を受け、2023年1225日に当センターにおける、認知症新薬レカネマブの初投与例について、記者ブリーフィングを実施しました。

副院長 岩田淳による説明

 IMG_2317.JPG記者ブリーフィングの冒頭に、当センター副院長(脳神経内科部長兼務)岩田淳から認知症新薬レカネマブ投与に関し説明しました。アルツハイマー病の脳状態や診断までの流れの他、レカネマブの効能や副作用、MRI撮像といった内容に触れながら当センター初となる今回のレカネマブ投与に関する取り組みを紹介しました。



(写真)記者会見時の様子

質疑応答(一部抜粋)

【以下は、記者質問(●)及び岩田回答(○)】
●「ついに投与が始まったが、率直な受け止めを伺いたい。」
「脳神経内科という医師を志した約30年前から、治療法がない脳の病気に対する治療を患者様に提供したいと思っていた。今回アルツハイマー病に限るが、病気の根元に働きかける治療が可能になったことは非常に感慨深い。効果が非常に高いわけではなく、また治るものではないが、ようやく医師として病気と立ち向かえる、スタートラインにたったと考えている。」
●「患者様・患者家族の期待と投与を受けられる際の注意点はどういった点か。」
「お持ちの情報量に違いがあるため、期待に関しては人それぞれである。注意点は2点、一つは、継続して2週間に一度当センターに通っていただく必要があること。もう一つは、認知症もしくは軽度認知症と診断された方が、全員投与いただけるわけではないこと。投与対象の条件については、国からの厳格なコントロールがあるので、それに従っていく。」
●「今後、この治療薬を普及していくための課題をどのようにお考えか。」
○「一番の課題は情報の適正な発信および啓発活動だと思う。投与対象の適否に関する誤解、認知症とアルツハイマー病の混同、レカネマブを飲み薬だと誤解される実態から、正しい情報の発信、普及啓発が必要である。他には、検査や投与対象の患者様の増加に備えた体制整備も課題と考えている。」

東京都知事記者会見(2023年12月22日)

東京都知事記者会見は東京動画でご覧ください。

お問い合わせ等

 当センターにおける認知症新薬レカネマブの受診から投与に関する流れについては、以下のページにて詳しくご案内しておりますのでご参照ください。
 アルツハイマー病による軽度認知障害または認知症の新薬レカネマブ(レケンビ®)について
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