突然一側半身に力が入らない、突然認知機能が低下したように見える(言葉の理解・発話の障害等)
脳の動脈が突然閉塞し、脳細胞の壊死により突然の機能障害を来たし後遺症を残す疾患です。
主には高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙歴、肥満、心房細動(不整脈の一種)がリスクとなります。これらのリスクに対する常用薬の飲み忘れや、水分摂取不足がきっかけとなる場合があります。
突然発症し、以降横ばい、または悪化する経過です。
症状は閉塞した血管により非常に幅広いですが、左右どちらかの半身に出現するのが典型的です(例えば「突然、左の顔と手足が動かなくなった」)。なお、発熱を伴うことは多くはありません。
経過の確認と、神経学的診察の後、原則緊急でMRIを行います。その他、脳梗塞の原因検索と再発予防のため、血液検査、頸動脈と心臓の超音波検査、24時間の心電図などを、患者さんの状態に応じて行います。
患者さんの状態に応じて最適な治療を検討します。基本的には脳卒中専門の集中治療室(stroke care unit: SCU)に御入院頂きます。
※患者さんまたはそのご家族や介護される方々へのお願い
受診時には主に以下の点につき情報提供を頂けますようお願いいたします。脳梗塞の発症時刻や原因の推定、治療法の選択に有用となる場合があるためです。
いつまで普段通りで、いつから普段と異なることに気づかれたのか
両者が同時のこともありますが、「就寝時は普段通りだったが起床時に症状に気づかれた」、という場合もあります。
普段の状態と、それと比べた具体的な変化
特にご高齢の方で、元々筋力や認知機能の低下がある場合、新出症状(普段との差異)の把握の上で重要な情報となります。
お薬手帳の内容,最後に内服したのはいつか,普段の服薬状況
特に抗血栓薬を内服している場合、最後に内服した時刻等により治療法が異なる場合があります。レカネマブ、ドナネマブをはじめとしたアルツハイマー病に対する疾患修飾薬を点滴中の場合にも情報提供をお願いいたします。
体内金属がある場合、体内金属を入れた時期・医療機関,MRIの可否
緊急でMRIを安全に撮像することが困難な方(特に心臓ペースメーカーや人工関節・人工血管といった体内金属がある方)の場合、原則CTを撮像しておりますが、状況により後日MRIを撮像できる場合があります。
脳神経内科では、主に救急外来において、急性期脳梗塞の患者さんを積極的に受け入れております。
発症早期で一定の基準を満たした方には、脳神経外科と連携し、血栓溶解療法(薬)、また血管内治療(手術)への橋渡しも行っております。
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