気胸とは、肺に穴が開き、肺から空気が胸の中に漏れる状態を指します。これにより、肺が正常に膨らめなくなり、「胸の痛み」や「呼吸のしにくさ」を感じます。特に、痩せている若い男性や、長い間肺の病気を抱えている人(慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎など)に多く見られます。症状は突然起こり、すぐに適切な治療を受けないと症状が悪化することもあります。軽い気胸であれば自然に回復することもありますが、重い場合は手術を含めた緊急の治療が必要です。
気胸は「自然気胸(しぜんききょう)」と「続発性気胸(ぞくはつせいききょう)」の2つに分類されます。
「自然気胸」:肺に問題がなくても発生しやすく、特に痩せている若い男性に多く見られます。
「続発性気胸」:慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺結核など、既に肺に病気がある人に発生します。
症状:突然の鋭い胸の痛みや息苦しさ、呼吸のしにくさが一般的です。さらに症状が進むと血圧の低下といった重い症状が現れることもあります。
気胸の診断には、胸のレントゲン写真が一般的に使われます。これにより、胸の中に漏れた空気や、縮んだ肺の状態が確認できます。さらに詳しい検査が必要な場合は、CTスキャンを使って肺の弱い部分(ブラ・ブレブ)も特定できます。
気胸の治療法は、その重さや患者の状態により異なります。軽い場合は、安静にして自然に回復するのを待つこともあります。しかし、中等度以上の気胸では、胸にチューブを入れて胸の中に漏れた空気を取り除く治療(胸腔ドレナージ)が必要です。再発を防ぐために、肺の穴をふさぐ手術が行われることもあります。また、再発しやすい場合には、肺と胸の内側をくっつけて再発を防ぐ処置(胸膜癒着術)を行うことがあります。
再発率:自然気胸の再発率は保存的加療(経過観察、胸腔ドレナージ)を行った場合20-60%1)、手術を行った場合5-10%2)3)前後とされます。
治療:手術
手術は胸腔鏡下手術(内視鏡手術)を行います。当院においては、創部は概ね図のように3か所で行います。
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