腹痛、背部痛、発熱、黄疸、嘔気、嘔吐など *無症状のことも
胆汁は脂肪の吸収に関係する消化酵素であり、肝臓で生成されます。胆汁は総胆管を通り胆のうに貯蔵、濃縮され食事の刺激で総胆管から十二指腸に排出されます。この胆汁の通り道に結石ができることを総称して胆石症と呼びます。総胆管に結石があると総胆管結石となります。
胆石形成の危険因子としては、カロリー・動物性脂肪の過剰摂取、脂質異常症、ホルモン補充療法、長期間の経口避妊薬の内服、ダイエットを含む急激な体重減少、肥満などが指摘されています。
総胆管結石は胆石症の2割程で、男性に多く、受診時の年齢は70~80歳で最も多くなります。
胆のう内で形成された結石が総胆管内に排出される場合と、総胆管内で結石が形成される場合があります。
症状は、結石が胆管に嵌頓(かんとん)(嵌まり込んで抜けなくなる)することに伴う腹痛・黄疸などです。
発熱・腹痛・黄疸、これらに意識障害・ショックを加えた臨床症状は、総胆管結石から胆管炎の合併を示唆する所見とされています。
胆石が原因で膵炎を起こすこともありますが、これは胆管と膵管の出口が共通の管となっており、そこに胆石が嵌頓することが原因です。
総胆管結石がある場合、無症状であっても治療すべきと言われています。
治療法は現在、内視鏡を用いた結石除去術が標準的治療とされていますが、高齢、ADL不良、重篤な基礎疾患など、患者さんの状態によっては、内視鏡治療の利益・不利益をよく考慮し慎重に施行の可否を判断する必要があります。
内視鏡的治療における総胆管結石に対する治療の目的は、結石の除去と胆道のドレナージ(排液)です。
一度の治療で結石を除去してしまうこともありますが、急性胆管炎や膵炎等で状態が不安定な場合や、大きな結石がある場合、結石が複数個ある場合等では初回は胆道ドレナージのみを行い、後日結石除去を行うことも多いです。