センター長の挨拶

地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター センター長 許 俊鋭
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター センター長
許 俊鋭

 東京都健康長寿医療センター研究所は、1972年開設以来、超高齢社会がもたらす諸問題の解決に向けた研究に取り組んでまいりました。東京都老人総合研究所が、2009年に同じキャンパスにあった東京都老人医療センターと一体化して地方独立行政法人として再スタートを切った組織です。研究所では、2019年4月現在、94名の常勤職員、および非常勤職員、大学院生を合わせて約200名の研究者が、東京都議会の承認を得た中期計画に基づき研究をしています。
 第一期中期計画(2009年~2012年)では、「高齢者の医療と介護を支える研究」を推進し、多くの成果を生み、東京都地方独立行政法人評価委員会、研究所外部評価委員会からも高い評価をいただきました。
 第二期中期計画(2013年~2017年)では、「高齢者の健康維持・増進と活力の向上を目指す研究」の推進をしました。2013年に新研究所に移転し、PET-CTや超解像顕微鏡など多くの新規研究機器を導入し、「認知症の早期発見、医師・看護師研修システムの開発」や「老化や老年病(あるいは老年性疾患)に関する各種バイオマーカーの開発」などの研究で着実に成果を出しました。その結果、当研究所の競争的研究資金とくに厚生労働科学研究費や文部科学省科学研究費の新規課題採択率は常に全国のトップクラスとなりました。
 第三期中期計画(2018年~2022年)では、「高齢者の健康長寿と生活の質の向上を目指す研究」を推進します。具体的にはサルコペニア・フレイル・認知症などの老年症候群の克服に向けた研究、高齢者の地域での生活を支える研究、老年学研究におけるリーダーシップの発揮に向けた取り組みなどを重点的に推進します。また、臨床研究と基礎研究が一体となったトランスレーショナル・リサーチの推進のために健康長寿イノベーションセンター(HAIC:Healthy Aging Innovation Center)を立ち上げ、2018年6月に臨床研究審査委員会の認定を受け、センター内外からの審査を受け付けるなど、活動を開始しています。
 当研究所の強みは、生物学、基礎医学、薬学といった研究者のみでなく、疫学、福祉、介護、医療経済など社会科学の分野の研究者、さらに病院の医師、看護師、薬剤師、コメディカルなど多職種も加わった学際的研究を活発に展開していることです。超高齢社会が進行しつつある今日、当研究所が担うべき研究課題は山積しております。所員一同、より充実した研究機器のもと、日々研究に取り組んでおります。今後とも変わらぬ、ご指導、ご鞭撻、そしてご支援をお願いし、ご挨拶とさせていただきます。