サブスタッフ養成講座に 参加して、あなたも 地域も元気に!

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サブスタッフ養成講座に 参加して、あなたも 地域も元気に!

パンフレット(PDF 1.4MB)非売品
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はじめに

 日本では、少子高齢化の進展に伴い、要介護認定者の増加や介護人材不足が深刻な課題となっています。その解決策の一つとして、福祉と生活ケア研究チームでは、地域にお住まいの方が介護予防サービスの担い手としてデイサービスで働くプログラム「サブスタッフ養成講座」の開発と効果評価を行っています。サブスタッフとは、介護予防の知識と技術を持ち、守秘義務を負い、デイサービス職員の支援のもとケアプランに従って自立に向けたケアを有償で提供する補助スタッフです。
 サブスタッフの養成を通じて、いつまでも地域で役割が感じられ、多様な主体によるサービスが充実している地域を目指しています。
 本稿では、私たちのチームで開発した「サブスタッフ養成講座」のプログラムをご紹介します。

サブスタッフ養成講座の概要

 サブスタッフ養成講座では、まずデイサービスでの養成講座に参加していただき(step1)、養成講座修了後、サブスタッフとして2年間デイサービスにて介護予防サービスに従事します(step2)。利用者への関わり方を学び、経験を積んだ後は、地域で介護予防活動を担うことを目指します(step3)。
 サブスタッフ養成講座は、地域にお住まいの方がデイサービスで介護予防サービスが提供できるようになることを目的とした4 カ月間のプログラムです。受講生はデイサービスに通い、デイサービス職員による講義と実習を受けます。
 ※詳細はパンフレットをご参照ください。

受講生への影響

 サブスタッフ養成講座の受講生への効果を検証することを目的に、介護予防の理解度と活動の自信について聴取しました。その結果、介護予防の理解度の各項目は、参加前と比べて参加後ではいずれも統計的に意味のある向上を示し、サブスタッフ養成講座に参加することによって、介護予防の知識が向上し、受講生本人の介護予防につながることが期待できます。また、デイサービスでの活動の自信も、参加前と比べて参加後では統計的に意味のある向上を示したことから、養成講座に参加することでデイサービスでの活動の自信が高まる効果があることが分かりました。
 サブスタッフ養成講座修了後の受講生の活動状況について聴取したところ、半数以上がデイサービスでの活動を継続していました。さらに、デイサービスでの活動以外の新しい地域活動を実施していた者も合わせると、修了者全体の約65% が新たな活動につながっており、サブスタッフ養成講座により受講生の地域活動への参加を促進できることが分かりました。

(受講者の声)
 定期的にデイサービスに通って利用者と関わることは、生きがいや楽しみになりました。サブスタッフ養成講座で学んだことが自分自身の介護予防にもつながりました。サブスタッフ養成講座を通して、地域とつながりができ、自分には縁がないと思っていたデイサービスが身近に感じられるようになりました。

サービス利用者への影響

 デイサービスに通う利用者が同年代の地域の方から介護予防サービスの提供を受けることは、利用者が劣等感を抱くなどの精神的な負の影響が懸念されます。そこで、サブスタッフ養成講座を実施しているデイサービスに通う利用者を対象に、受講生からのサービス提供前後に、受講生から介護予防サービスの提供を受けた者と受けなかった者に対して「過去1 カ月間に心理的な問題にどのくらい悩まされたか」について聴取したところ、統計的に意味のある差は認められませんでした。この結果から、受講生の関わりは利用者の精神面に負の影響を与えないことが考えられました。

デイサービスへの影響

 サブスタッフ養成講座の実施には、デイサービスに講座開催に伴う新たな負担をお願いすることになり、養成講座の費用だけでなく、業務的な負担を超えるメリットがあることが必要です。そこで、サブスタッフ養成講座を実施したデイサービスに、地域住民の介護予防サービスへの参加によって職員の仕事量はどの程度軽減されたかについて聴取しました。この結果、「軽減された」と回答したデイサービスは8割以上でした。したがって、サブスタッフはデイサービスの業務の一部を担うことができ、職員の仕事量を軽減できるメリットがあると考えられました。

 サブスタッフ養成講座は、受講生自身、利用者、デイサービスの3 者それぞれにメリットがあるプログラムです。サブスタッフ養成講座を通じて、ご自身も地域も元気になる地域づくりを目指しています。