社会科学系副所長

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社会科学系副所長 藤原 佳典

 

~高齢者と共に拓く、持続可能な地域共生社会をめざして~

 社会科学系研究部門は、健康長寿・ウエルビーイングを実現するために、「認知症」、「フレイル」、「社会的孤立・孤独」、「健康格差」の解決に向けて、「予防と共生」の視点から基礎研究と応用・実践研究を進めていきたいと思います。
 その研究体制は「社会参加とヘルシーエイジング」、「自立促進と精神保健」、「福祉と生活ケア」の3つの研究チームと各チームに属する3つのテーマグループから構成されます。
研究内容について、高齢者個人の視点からは、運動、栄養・口腔、社会参加・貢献活動といった生活習慣や糖尿病・筋骨格系疾患などの慢性疾患の管理について研究します。一方、高齢者の健康長寿・ウエルビーイングは個人の努力だけで成就できるものではありません。そこで、高齢者を取り巻く環境要因の視点からは、地域・社会環境、社会システム、デジタル化についての研究を推進します。
 
また、各テーマグループはセンター内外の研究機関と連携し「東京LSA(Longitudinal Study on Aging)」の名のもと、5つの長期縦断研究を主宰しています。さらに病院部門や自然科学系研究部門との横断組織である「認知症未来社会創造センター」と「フレイル予防センター」と連携しながら認知症とフレイルについての総合的な研究を進めています。そして、その研究成果を民間企業と連携し、広く社会へ還元しています。
 当センターのルーツである養育院初代院長、渋沢栄一は名著「論語と算盤」において、福祉と実業の連携こそが日本社会を持続的に発展する礎であることを説きました。この銘こそが、社会科学系研究部門が目指すべき、「健康福祉研究の開発とその社会実装・還元」と言えます。
 一方、私たちは、来たるべき2040年問題、いわゆる団塊ジュニア世代が高齢者になり、現役世代が急速に減少する社会への処方箋を示さなければなりません。その一つは、高齢者が様々な立場で活躍することにより、その恩恵が、ご本人はもとより、周囲の人、社会全体へと波及する「三方よし」の仕掛け・仕組みを開発・検証さらには展開することと考えます。これにより超高齢社会を共に支える全ての世代が希望と尊厳をもって暮らせる社会の実現、すなわち、「高齢者と共に拓く、持続可能な地域共生社会の創造」に寄与したいと考えております。皆さまのご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。