新型コロナウイルス感染症との戦いも3年目に入りましたが、介護予防事業を担当される皆様におかれましては、感染症対策を踏まえた高齢者支援に、今なお、緊張した毎日を過ごされていることと思います。こうした中昨年度に引き続き、令和4年度は、第8期介護保険事業計画に沿って一般介護予防施策が進行しています。介護予防施策を実施する上で、次の重要な2つの柱があります。第1に、より多くの住民にとって支持されること、更には、そうした通いの場が自立し持続することを目的に、従来の介護保険担当部局の取組にとどまらず多様な関係者や事業等と連携し、魅力的な「通いの場」を作ることです。第2に、こうした取組をより効果的・効率的に行うことを目的に、自治体は、PDCAサイクルを推進するというものです。
更に、東京都健康長寿医療センター研究所は、令和2年度より、介護予防にフレイル予防の考えを付加しました。フレイルは生活機能が低下し、のちにADL障害を起こしやすい前障害状態と捉えることができます。フレイルな状態に陥らないために健常な時点からフレイル予防の視点で、多様な社会参加活動への参画・継続が重要です。
一方、人は、介護予防のためだけに社会参加活動に励んでいるのではありません。1986年のヘルスプロモーションに関するオタワ憲章では、「健康は資源であって人生の目的ではない」と宣言されました。その原点に立ち戻ることも重要です。上述のPDCAサイクルに基づく、事業評価のアウトカム指標として、健康寿命の延伸(要介護認定率の抑制)と共に幸福感(ウェルビーイング)の向上が明示されました。幸福感は人それぞれの価値観に依拠するところが大きく、その価値観が最も反映されるのが、社会参加、社会的サポート・ネットワークではないでしょうか。
東京都介護予防・フレイル予防推進支援センターは、都内の全ての自治体がこれら2つのアウトカムを実現できますよう、皆さまと共にスタッフ一同、引き続き、まい進したいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
令和4年5月
東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター
センター長 藤原佳典