老年病理学研究チーム神経病理学研究 研究員の荒川晶が第43回日本認知症学会学術集会 学会奨励賞を受賞しました。
高齢者ブレインバンクにおける直近10年間の嗜銀顆粒性疾患の有病率,生前診断の検討
老年病理学研究チーム 神経病理学研究 研究員 荒川晶
嗜銀顆粒性疾患(しぎんかりゅうせいしっかん)は高齢者認知症の主要な背景病理の1つで、本症を主たる病理とする認知症を嗜銀顆粒性認知症と診断します。記銘力低下主体の認知症に加え易怒性、性格変化等の精神症状が見られますが,生前診断率が低いことが課題でした。本研究は、2012年から2022年の当センターの高齢者連続剖検例452例のデータを検討し、①嗜銀顆粒性疾患は2004年の同チーム研究部長の齊藤らの報告と同様、高齢者の約半数にみられること、②嗜銀顆粒性認知症17例中5例は生前診断され、頭部MRIでの扁桃体、前方海馬優位の萎縮が診断の鍵となること、③17例中5例はパーキンソニズムを呈し,生前レビー小体型認知症や進行性核上性麻痺と診断され、嗜銀顆粒性認知症の新たな臨床像の特徴となる可能性があること、の3点を明らかにしました。本研究は嗜銀顆粒性疾患の生前診断で重要となる所見を明らかにし、今後の生前診断率の向上に役立つものと期待されます。
荒川晶研究員と賞状