老化脳神経科学研究チーム 自律神経機能研究の森原大智(連携大学院生)が第254回生理学東京談話会 優秀演題賞を受賞しました。
三叉神経系嗅覚刺激による脳局所血流反応および加齢変化の解析
森原大智(連携大学院生・東京農工大学), 鍵谷方子(協力研究員), 内田さえ(専門副部長)
嗅覚機能は加齢とともに低下するのに加えて、認知症の初期から障害されるといわれています。しかし認知機能と嗅覚を関連づける神経機構は充分に解明されていません。花の香りなどの芳香は鼻の中にある嗅神経により受容されます。お酢やワサビのようなツンとした刺激臭は鼻粘膜の三叉神経により受容されます。嗅神経と三叉神経により伝えられる嗅覚情報が脳機能に与える影響について比較した研究はこれまでなされていませんでした。私たちは脳血流を指標にした基礎研究を進めています。本発表では三叉神経刺激による脳局所血流反応と加齢の影響について嗅神経刺激と比較し、嗅覚の神経機構とその老化過程の解明に貢献する知見を提供しました。私たちの基礎研究は、認知症の早期発見や予防に適した、神経機構に基づく嗅覚刺激法への応用を目指しています。