研究所NEWS No.311

2023年09月発行

研究所NEWS No.311 PDF版

内容

《注目記事》
第12回アジア/オセアニア国際老年学会議(IAGG2023)第33回日本老年学会総会(7学会合同大会)を振り返って
TOBIRA研究交流フォーラムについて

《その他(PDFでお読みいただけます)》
・【特集】第165回老年学・老年医学公開講座誌上開催
新幹部紹介
表彰
主なマスコミ報道/編集後記

第12回アジア/ オセアニア国際老年学会議(IAGG2023)と 第33回日本老年学会総会(7 学会合同大会)を振り返って

副所長 石神 昭人

 2023年6月12日から14日まで鳥羽研二理事長が会頭を務めるIAGG Asia/Oceania RegionalCongress 2023(IAGG2023)がパシフィコ横浜ノース(横浜)で開催されました。現地参加者は、アジア・オセアニア地域、その他を含め33カ国から1,500名以上でした。初日は、鳥羽理事長の開会挨拶より始まり、アルテハイマート楽団によるオープニングセレモニーの演奏がありました。アルテハイマート楽団は、以前に研究所副所長であった丸山直記先生が率いる楽団です。会期3日の間に著明な10名の基調講演、認知症や社会科学、老年学、老化科学など多くのシンポジウム、口頭発表やポスター発表がありました。また、当センターからも認知症未来社会創造センター(IRIDE)が展示ブースを出展し、世界の方々にIRIDE の取り組みを説明しました。嬉しいことに、老化制御研究チームの土志田裕太研究員が、研究発表を高く評価され、IAGG2023 Outstanding PresentationAward(優秀発表賞)を受賞しました。
 IAGG2023に引き続き、2023年6月16日から18日まで第33回日本老年学会総会(7学会合同大会)が同会場で開催されました。日本老年学会は、日本老年医学会、日本老年社会科学会、日本基礎老化学会、日本老年精神医学会、日本老年歯科医学会、日本老年看護学会、日本ケアマネジメント学会の7学会より構成され、2年ごとに7学会が合同で総会を開催します。私事ですが、総会では日本基礎老化学会(第46回日本基礎老化学会大会)の大会長を務めました。日本基礎老化学会では、大会テーマを「老化制御への挑戦」としました。老化は、生物にとって避けがたい現象ですが、その速度を遅くすることは可能です。そして、老化制御の達成は、健康寿命の延伸に繋がります。第33回日本老年学会総会では、5名の特別講演、16の7学会合同シンポジウム、7学会合同ポスター発表がありました。本学会では、当センターから多くの研究発表があり、優秀発表賞を受賞した研究者もおりました。
 最後に、国際学会IAGG2023と日本老年学会総会が連続して開催され、とても忙しい1 週間でしたが、当センターでの老化研究の成果を国内外に発表でき、とても有意義な1 週間となりました。

副所長 藤原 佳典

 第12回アジア/ オセアニア国際老年学会議(IAGG2023)が鳥羽研二理事長の会頭のもと開催されました(6月12日~ 14日、於パシフィコ横浜ノース)。コロナ禍がようやく落ち着きを見せた中、アジア・オセアニア地域をはじめ33カ国から1,500名以上の参加者は久々の体面による議論や交流を満喫しました。当センターからは、研究所部門をはじめ、病院部門からも多数の職員が参加しました。中でもシンポジウムでは延べ53人、一般演題では延べ90人が登壇し、熱心な議論を繰り広げました。例えば、社会科学系の研究では、2025年を節目とする地域包括ケアシステムの構築に関する研究について、超高齢社会を追従する諸外国の関心が寄せられました。
 IAGG2023に引き続き、第33回日本老年学会総会(6月16日~ 18日、於パシフィコ横浜ノース)が開催されました。日本老年学会は、日本老年医学会、日本老年社会科学会、日本基礎老化学会、日本老年精神医学会、日本老年歯科医学会、日本老年看護学会、日本ケアマネジメント学会の7学会からなり、共通して、主に認知症、フレイルに関する最新の知見を発信しました。また、臨床・地域関連の学会では長引くコロナ禍の多面的な影響を総括する研究やポストコロナを見据えた研究も多く見られました。最終日の市民公開講座においては、住まいと健康の関連について"生活環境病"というキーワードが掲げられました。人生の仕上げのWell-Being は住まいが決めるという観点に立ち、Aging in Placeで幸せに歳をとる老年学の視点を加え、今まで、あまり注目されなかった住環境要因について3 人の専門家が警鐘をならしました。
 2年後の第34回日本老年学会総会に向けては大会長の鳥羽研二理事長のもと当センター研究員が一丸となって、更なる研究の進展や社会実装の展開について発信したいと思います。どうぞ、ご期待ください。

研究員 池谷 真澄

 新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が解除されて初めての学会でした。脳神経、心血管、呼吸器、消化器など、様々な分野の研究者が横浜に集まりました。基礎老化学会のテーマが「老化制御への挑戦」ということで、老化研究のトピックスとなっている老化細胞除去薬に関する研究や、運動療法、漢方などの東洋医学の面から抗老化に向けた治療法を目指した研究を行っている研究者も参加していました。今回は老年学7学会合同開催のため、社会科学の専門家とも話し合う機会がありました。興味深い研究内容を見つけて異分野の研究者と意見交換したり、発表会場だけでなく、ロビーや休憩所などでも研究談義が行われたりすることは、オンライン開催では得られない現地開催の醍醐味でした。オンラインでの開催は移動が不要で楽ですが、研究の発展には現地開催による研究者間の交流が不可欠だと感じました。

研究員 江尻 愛美

 IAGG2023横浜大会へ参加いたしました。国際学会への参加はコロナ前以来3 年ぶりで、自分の研究について直接海外の研究者の先生方と意見交換する貴重な機会となりました。フレイル予防や認知症予防について各国の取り組みを学ぶことができたので、今後の研究に活かしていきたいと思います。また後半の老年学会は7 学会合同大会であったため、異分野の演題が一堂に会した興味深いシンポジウムや講演が数多く設定されていて、同時刻に行われる時もあり自分の体が一つしかないことが歯がゆく感じたほどでした。海外の知見に数多く触れることのできたIAGG では課題をグローバルな視点で考える鳥の目を、また老年学の各分野のエキスパートが集まった老年学会総会では課題を細分化して自らの専門性を追求する虫の目を、それぞれ改めて深く考えるきっかけとなりました。

鳥羽理事長.bmp 

第11回TOBIRA研究交流フォーラムの報告

健康長寿イノベーションセンター 事務ユニット 福島 成人

 7月28日、「認知症の未来社会~バイオマーカーを用いた新たな認知症医療の社会実装~」と題し、第11回TOBIRA 研究交流フォーラムが東京都健康長寿医療センター・認知症未来社会創造センター(IRIDE)との共催により、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターで開催されました。
 IRIDE を中心に、血液等を用いた低侵襲のバイオマーカー検査、AI を活用した神経画像検査支援システム、AI チャットボット(自動会話プログラム)、認知症発症のリスクチャート及び新規バイオマーカー開発など多数研究成果の発表に加え、23件のポスター発表が行われるなど、活発なディスカッションが行われました。
 また、ブースでは当センターの組織概要、歴史、ホスピタルアートなどを展示し、大学等研究機関や民間企業との交流を図りました。
 今後も他の交流会等へ参加することで、センターの研究成果を多角的に情報発信するとともに、健康長寿イノベーションセンター(HAIC)を通じて外部機関とのネットワークを着実に構築し、共同・受託研究等の産学公連携の推進や研究成果の実用化に繋げていきたいと思います。

センター長.bmp

PDF版では更に多くの写真などをフルカラーで掲載しております、是非併せてお読みください。