網膜色素変性症の原因となる遺伝子変異を発見

東京都健康長寿医療センターの遠藤玉夫副所長、ベイラー医科大学(米国)ルイ・チェン博士、北京協和医学院(中国)ルイファン・スー博士、マギル大学医療センター(カナダ)ロバート・コーエンコープ博士らの共同研究グループは、厚生労働省指定難病の一つである「網膜色素変性症」の原因となる遺伝子(糖転移酵素POMGNT1)の変異を発見し、発症機構の一端を明らかにしました。

私たちは原因が明らかになっていなかった網膜色素変性症の3家系を調べ、新たにPOMGNT1遺伝子の変異を発見しました。これまでに筋眼脳病患者さんから見つかったPOMGNT1遺伝子の変異は全てPOMGNT1の酵素活性を失っていましたが、今回新たに見つかった変異はPOMGNT1の酵素活性を著しく減少させたものの、弱い酵素活性が維持されていました。弱い酵素活性が残ることで、重篤な先天性の筋眼脳病は発症しませんが、成人後の網膜色素変性症を発症するリスクがあることが分かりました。本研究により、POMGNT1は成人後の網膜細胞の維持に必要であり、酵素活性の低下により糖鎖合成が不完全になることで徐々に網膜細胞を維持できなくなる、という網膜色素変性症の発症の新しいメカニズムが明らかにされました。

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