<プレスリリース>前立腺がんを神経様の形態へと悪性化させる因子の発見と診断・治療への応用

東京都健康長寿医療センター研究所の井上聡研究部長、高山賢一研究員は、従来治療が効かなくなった前立腺がんにおいてより悪性度の高い神経様形態への変化を引き起こし、男性ホルモンであるアンドロゲンの効果を増強する新たな仕組みを見出しました。

進行した前立腺がんではホルモン療法によりアンドロゲンの効果を抑制する治療が行われますが、次第に効果が得られなくなることが問題となっています。今回ホルモン療法抵抗性のがんの悪性化の過程における神経様の形態への変化において新たなタンパク質COBLL1(コブルワン)が働く仕組みを発見し、前立腺がんの新しい診断、治療標的となりうることも証明しました。

この研究成果は、前立腺がんの今後の治療法の開発や再発・難治化の病態解明に大きく貢献するものと期待されます。

本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の次世代がん医療創生研究事業 (P-CREATE)「がん関連RNA結合タンパク質複合体を標的とした革新的治療法の開発」の支援を受けて行われたものであり、米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of USA(PNAS)」に掲載されるのに先立ち、4月23日の週にオンライン版に発表されます。

掲載論文

COBLL1 Modulates Cell Morphology and Facilitates Androgen Receptor Genomic Binding in Advanced Prostate Cancer
(COBLL1(コブルワン)は進行した前立腺がんにおいて 細胞形態を変化させアンドロゲン受容体のゲノムへの結合を促進する)
高山賢一、鈴木貴、藤村哲也、高 橋悟、井上聡* (*責任著者)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29686105

プレス発表