Pathology International High Citation Award 2018を受賞

老年病理学研究チームの石渡俊行研究部長が、Pathology International High Citation Award 2018を受賞しました。日本病理学会のofficial journalであるPathology Internationalに掲載された総説が、他の雑誌に多く引用されたため受賞に至りました。

発表タイトル

Cancer stem cells and epithelial-mesenchymal transition: Novel therapeutic targets for cancer.

(新たな治療標的としてのがん幹細胞と上皮間葉転換)

https://onlinelibrary.wiley.com/page/journal/14401827/homepage/high_citation_awards.html

発表者

老年病理学研究チーム 研究部長 石渡 俊行

発表内容

近年、注目されている「がん幹細胞(がんかんさいぼう)」と「上皮間葉転換」について、最新の知見に私達の研究成果を加え、日本病理学会のPathology International誌に総説論文として報告しました。がんは様々な異なった性質のがん細胞からなっており、そのなかに少数存在するがん幹細胞と呼ばれるがん細胞が転移や、抗がん剤・放射線治療に対する抵抗性に重要な役割を果たしていることが明らかとなってきました。さらに、がん幹細胞が本来の上皮細胞様の性質から間葉系細胞の性質へと変化(上皮間葉転換)することで、転移能や、抗がん剤・放射線治療への抵抗性が亢進すると考えられています。私達は、がん幹細胞に発現するネスチンという細胞内骨格タンパクと、上皮間葉転換に関与する線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR-2)の選択的スプライシングについて、研究を行ってきました。がん治療において、がん幹細胞と上皮間葉転換が今後、重要な治療標的となると考えています。この総説は日本病理学会学術研究賞の受賞講演後に依頼され、本研究所に移って初めて書いた論文です。多くの研究者の論文に引用され、このような賞を頂くことができたことを励みにし、さらに研究を進めて行きたいと思っています。ご指導、ご支援を賜りました多くの方々に心より感謝申し上げます。