日本心理学会 学術大会優秀発表賞 特別優秀発表賞を受賞

福祉と生活ケア研究チーム増井幸恵研究員が日本心理学会学術大会優秀発表賞 特別優秀発表賞を受賞しました。

発表タイトル

前期高齢者における老年的超越の発達に対する介護経験の影響――SONIC研究70歳コホート6年間の縦断データを用いた検討――

発表者

増井 幸恵,権藤 恭之,中川 威,小川 まどか,石岡 良子,蔡 羽淳,安元 佐織,小野口 航,髙山 緑,稲垣 宏樹

筆頭著者

福祉と生活ケア研究チーム・医療・介護システムテーマ 研究員 増井幸恵

受賞について掲載されているページ

https://psych.or.jp/prize/conf/

受賞内容

老年的超越とは、高齢者の幸福感を高めるために重要なこころの在り方のひとつです。内容としては、①自分中心ではなく他者を思いやる気持ちが強くなる、②物質的・合理的な社会常識にとらわれなくなる,③他者や他の存在とつながっているという気持ちが強くなる。などの要素を含んでいます。老年的超越は高齢者の幸福感と強い関係を持ち、中でも80歳代、90歳代の身体機能が低下した際の幸福感の維持に重要であることが、私共と大阪大学などが共同で実施している長期縦断研究SONIC研究(Septuagenarians, Octogenarians, Nonagenarians investigation with Centenarians)のデータで示されています。本研究は、SONIC研究の70歳代の調査データを用い、3回6年間の追跡調査の結果から、老年的超越が①70歳代の前期高齢期に発達し向上すること、②介護経験がある人はない人よりも早く発達すること、③男性でも女性でも介護経験の効果は同じであり、経験がある人の方が早く発達すること、を明らかにしました。縦断データを用いた老年的超越の発達やその関連要因を確認した研究は国内外にほとんどなく本賞をいただくことができました。これは毎年行われる日本心理学会大会おける約1200件の発表の内、10件程度だけ選ばれるものであり、長期縦断研究SONIC研究の研究レベルの高さを示すものとなりました。また、これは長年に渡って、長期縦断研究SONICをご支援、ご指導いただいた当センターの皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。