第23回日本臨床内分泌病理学会研究賞(最優秀賞)を受賞しました。

老年病理学研究チーム 高齢者がん研究グループ 野中敬介 協力研究員が第23回日本臨床内分泌病理学会研究賞(最優秀賞)を受賞しました。

発表タイトル

副腎皮質3層および髄質の加齢性変化に関する検討

著者

老年病理学研究チーム 高齢者がん研究グループ 野中敬介 協力研究員

発表内容

本研究では乳児から超高齢者までのヒト副腎皮質3層および髄質のテロメア長を解析し、その加齢性変化を検討しました。テロメアとは染色体末端に位置し、染色体を変性・消失などから保護する構造物です。このテロメア長は脳、心臓を除くほぼ全ての臓器で加齢や細胞分裂に伴い減少することが知られています。本研究の結果、65歳以上の高齢期では女性に比べて男性の方が副腎の大半の体積を占める束状層という領域のテロメア長が有意に短いことが分かりました。また、高齢期男性の副腎重量は有意に減少する一方、高齢女性の副腎重量には変化が見られないことも明らかになりました。この結果から、高齢男性の副腎では束状層細胞のテロメア減少が細胞変性・脱落を引き起こし、副腎重量を減少させていると推定されます。束状層細胞は生命活動に極めて重要なコルチゾールを分泌することから、高齢男性における束状層細胞のテロメア長減少/細胞数減少が男女の寿命差を生み出している可能性が示唆されます。