日本心理学会第84回大会「学術大会特別優秀発表賞」を受賞しました。

 社会参加と地域保健研究チーム(大都市高齢者基盤)の村山陽研究員が、日本心理学会第84回大会「学術大会特別優秀発表賞」を受賞しました。本賞は、研究発表の奨励と研究の質の向上を目的に、年次大会において優れた発表をおこなった優秀発表賞の中で、特に優秀なものを表彰する賞です。

発表タイトル

タイトル「生活困窮状態にある単身男性高齢者における被援助志向性の特徴」

リンク先 https://psych.or.jp/prize/conf/

演者

村山 陽,山崎 幸子,長谷部 雅美,高橋 知也,小林 江里香

発表内容

 生活困窮状態にある単身男性高齢者は他者に援助を求めること(以下、援助要請)に消極的であることが示されている一方で、援助を求めることをどのように認識しているのか明らかにされておりませんでした。

 そこで本研究では、生活困窮に陥った単身男性高齢者の被援助志向(援助を求めることの意識や認知)の特徴を明らかにするために、都内の養護老人ホームに措置入所した男性高齢者83名を対象にインタビュー調査を行いました。その内、入所前に単身であった29名(生活困窮経験者)を分析対象者としました。

 分析の結果、主に2つの援助要請を抑制する志向が認められました。1つ目は、"困難な状況でも自分で解決したい"という男性性役割的な志向(自立型)で、対象者に共通して認められました。2つ目は、幼少期の困窮した生活経験や過去の援助要請の失敗経験から"他者に援助を求めてもどうせ誰も助けてくれない"という志向(諦め型)で、これまでのライフコースと関連することが示されました。その他、少数ではありますが援助要請に肯定的な志向も認められましたが、"社会から孤立した状態"であるため他者に援助を求められない現状も見受けられました。

 これらの結果から、単身男性高齢者の援助要請を促すには、より早い時期から社会関係を構築し、それを通して現状把握や将来展望を進める取組が重要であることが分かりました。