<プレスリリース>「保健文化賞の受賞」

発表内容の概要

虚弱高齢者に対する筋力向上トレーニングのエビデンスを新規に創出し、介護予防マニュアルを作成することで、全国の事業所でどこでもトレーニングできる環境を整備し、わが国における介護予防事業の構築に貢献した事に対し、福祉と生活ケア研究チーム研究部長、大渕修一に保健文化賞が贈られた。

保健文化賞とは

 戦後の衛生環境が悪化していた中、わが国の保健衛生の向上に取り組む団体・個人に感謝と敬意を捧げる賞として1950年に創設されたものである。生活習慣病対策・高齢者や障がい者への福祉・海外での医療や疾病対策など、その時代におけるさまざまな課題に継続的に取り組んできた団体・個人を顕彰している。主催は第一生命保険株式会社、後援は厚生労働省、朝日新聞厚生文化事業団、NHK厚生文化事業団である。過去の受賞者には、療育の父と呼ばれる高木憲次をはじめ、地域の保健衛生の普及に継続的な貢献をした個人、団体で受賞者総数は、693団体、個人357名である。
賞の詳細は以下を参照
https://www.dai-ichi-life.co.jp/dsr/society/challenges/pdf/movie_001.pdf

研究成果の概要

 高齢者に対する高負荷筋力増強トレーニングは禁忌とされてきたときに、高齢者に安全に実施できる筋力増強トレーニングプロトコルを開発し、この効果を実証研究で示し介護予防事業として普及させたことにより、現在では多くの高齢者が取り組む健康増進プログラムとして定着した。厚生労働省「運動器の機能向上マニュアル」研究班の班長として、筋力増強トレーニングのみならず、膝痛・腰痛対策プログラム、スクリーニング、効果検証を統合的に示し、わが国における介護予防事業のシステム構築に尽力した。この成果は、介護予防プログラム導入後、介護費用が減少するなど社会保障制度の維持に対する貢献も大きい。
現在は、我が国の介護予防を国際的に普及させるために、ISOを通じた超高齢社会に必要とされる評価指標の標準化に取り組むなど、世界を視野にした研究を行っている。

研究の意義

 推薦者である日本理学療法士協会、半田一登会長の推薦理由
 介護予防の必要性を早くから訴え、介護予防に関する研究・介護予防システムの構築に尽力した。これにより介護予防分野での理学療法士が躍進した。
予防を中心とした地域づくりは我が国のムーブメントとなった。

 
プレス概要

(問い合わせ先)

東京都健康長寿医療センター研究所
高齢者健康増進事業支援室 西田和正
電話 03-3964-3241内線4243
Email: nishida@tmig.or.jp