運動器医学研究グループ(老年病態研究チーム)の福永大地 大学院生が、第7回日本サルコペニア・フレイル学会大会で最優秀演題賞を受賞しました。

運動器医学研究グループ(老年病態研究チーム)の福永大地 大学院生が、第7回日本サルコペニア・フレイル学会大会で最優秀演題賞を受賞しました

発表タイトル

老齢マウス骨格筋の筋線維タイプ単位におけるミトコンドリア酵素活性とミトコンドリア形態の加齢変化

発表者

運動器医学研究グループ(老年病態研究チーム)の福永大地 大学院生(連携大学院 東京農工大学)

発表内容

 ミトコンドリア機能低下はサルコペニア・フレイルの主要因の一つと考えられているが、その機序については不明な点が多い。老年病態研究チーム運動器医学研究グループは、骨格筋を構成する異なる筋線維タイプ(遅筋線維、速筋線維)ごとに、ミトコンドリア機能と形態の加齢変化を解析して、サルコペニア・フレイルの分子機序の一端を明らかにすることに成功した。老齢マウスの下肢のふくらはぎとして知られているひらめ筋(遅筋優位筋)において、type I 線維(遅筋線維)に特異的なミトコンドリアの呼吸酵素活性の低下を認め、またtype Iとtype IIA線維(遅筋線維と速筋線維の中間の特性)の外側を囲む筋鞘膜の直下でミトコンドリアが多く蓄積していることがわかった。病理学的変化とひらめ筋の呼吸機能低下は、筋重量の減少に先立って筋機能の低下の原因となることがわかった。また、筋鞘膜下ミトコンドリア蓄積所見は、ミトコンドリア病理染色性の違いから、従来から報告されていたミトコンドリア病理所見(ragged red fibers)とは異なる特徴を示すことを明らかにした。一方、老齢マウスの長趾伸筋(速筋優位筋)においては、ひらめ筋で認められたような顕著なミトコンドリア病態変化は認められなかった。これらのことから、加齢に伴うミトコンドリアの病態変化は、筋の萎縮よりも筋の質的な変化(代謝機能の低下など)に伴う筋機能低下(筋力、持久力など)に関与している可能性が示された。本研究の成果は、今後のサルコペニア・フレイルの予防・治療法の開発研究において、有用な病理学的エビデンスとなることが期待される。

最優秀演題賞 受賞の様子
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