<プレスリリース>通いの場等、地域で活用できる低栄養予防パンフレットを作成しました

発表内容の概要

東京都健康長寿医療センター研究所の本川佳子研究員、平野浩彦研究部長らの研究グループは、通いの場に参加する高齢者自身が自分の栄養状態を把握し、口腔機能の低下や低栄養について自分事化するための「おいしく食べて低栄養予防」パンフレットを作成いたしました。

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作成の背景

少子高齢化による生産年齢人口の減少社会保障費の増加といった課題に対応するため、健康寿命の延伸への取り組みが進められています。厚生労働省は令和元年度に健康寿命延伸プランを定め、男女ともに健康寿命を3年以上引き延ばすことを目標に掲げています。 

その目標達成のための取り組みの1つに地域の「通いの場」の拡充があります。通いの場は運動機能向上、認知機能低下予防、社会参加促進、口腔機能向上、低栄養予防への効果が期待されています。しかしその中で、低栄養予防が期待される会食等の通いの場については、食事提供、献立作成等の実態が明らかではありませんでした。そこで我々は2019年度、2020年度に厚生労働省度老人保健健康増進等事業(老人保健事業推進費等補助金)により、会食を行う通いの場の実態把握、そこに参加する高齢者の栄養状態等の調査を行いました。その結果、会食を実施している通いの場に保健師、管理栄養士等の専門職が関わることで、栄養状態や摂食機能に応じた食事提供や食事中のムセなどへの配慮が行われていることが明らかとなりました。しかし一方で専門職が関わっている通いの場は全体の約半数という低い結果でした。また通いの場参加者の実測調査に基づく結果から、通いの場に参加する高齢者において客観的には摂食機能が低下しているにも関らず、本人にはその認識がないといった、自己評価と客観評価の乖離が認められました。

これらの結果から、通いの場に参加する高齢者自身が自分の栄養状態を把握し、口腔機能の低下や低栄養について自分事化する必要があると考え、今回「おいしく食べて低栄養予防」パンフレットを作成いたしました。

研究成果の概要

パンフレットは、「低栄養について」から始まり、後期高齢者の質問票「1日3食きちんと食べていますか」「6か月間で2~3kgの体重減少がありましたか」「半年前に比べて固いもの(さきいか、たくあんなど)が食べにくくなりましたか」「お茶や汁物でむせることはありますか」の4項目で自分自身の栄養・口腔の状態をチェックできるようになっています。またチェックがついた場合に、どのようなリスクがあるか、何に気を付ければよいかについて説明しております。その他にも、食品摂取の多様性、体格指数(BMI)、口腔機能低下のチェック項目もいれており、広く活用していただけるよう作成いたしました。

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公開・ダウンロード先

 東京都健康長寿医療センター研究所ホームページ内、令和2年度老人保健健康増進等事業に関する研究報告書よりダウンロードしていただけます。

https://www.tmghig.jp/research/info/archives/013799/

(問い合わせ先)

東京都健康長寿医療センター研究所

自立促進と精神保健研究チーム

本川佳子  電話:03-3964-3241(内線4213)