第44回日本基礎老化学会大会 Most Impressive Presentatorを受賞しました。

老化脳神経科学研究チーム自律神経機能研究 研究員 渡辺信博は、第44回日本基礎老化学会大会 Most Impressive Presentatorを受賞しました。

受賞タイトル

Influence of amyloid β deposition around the cerebral artery on cerebrovascular response during transient ischemia
(一過性虚血時の脳表動脈の反応に対する血管周囲でのアミロイドβ蓄積の影響)

受賞者

老化脳神経科学研究チーム・自律神経機能研究 研究員 渡辺信博


受賞研究の概要

 アルツハイマー病は認知症を引き起こす病気のひとつです。その原因は、アミロイドβというタンパク質が脳に異常に溜まることで、脳機能に必須な神経細胞が損なわれるためと考えられています。アルツハイマー病の症状は、脳の血液の流れが悪くなること(脳虚血)でも悪化することが報告されています。そこで私たちは多光子顕微鏡という装置でマウスの脳血管と蓄積したアミロイドβを観察し、脳虚血時の脳血管の反応を調べました。
 その結果、健常なマウスの脳ではアミロイドβは認められず、脳虚血時に脳血管の幅が約5%拡がる一方、アルツハイマー病のモデルマウスでは、アミロイドβが脳組織中や脳血管の周囲にところどころ溜まっていること(写真参照)、さらに、アミロイドβが溜まった脳血管の部位では脳虚血時に血管の幅がほとんど拡がらなくなっていることを発見しました。
 脳血管に溜まったアミロイドβは、脳血流の調節に重要な血管機能を妨げることにより、アルツハイマー病の病状悪化に寄与している可能性が示唆されました。

渡辺研究員(写真は、大会で使用した資料)
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