日本心理学会第85回大会「学術大会特別優秀発表賞」を受賞しました。

日本心理学会第85回大会において、社会参加と地域保健研究チーム(大都市高齢者基盤)の村山陽研究員が、「学術大会特別優秀発表賞」を受賞しました。(昨年に続き、2年連続での受賞)

特別優秀発表賞とは

本賞は、研究発表の奨励と研究の質の向上を目的に、年次大会において優れた発表をおこなった優秀発表賞の中で、特に優秀なものを表彰する賞です。

発表タイトル

「経済的困難を抱える単身中高年男性の援助要請はどのように抑制されるのか:将来展望意識に着目して」
https://psych.or.jp/prize/conf/

発表者

社会参加と地域保健研究チーム(大都市高齢者基盤) 研究員 村山陽

共同発表者:山崎幸子2)、長谷部雅美3)高橋知也1)、山口淳1)、小林江里香1)
1):東京都健康長寿医療センター研究所
2):文京学院大学
3):聖学院大学

発表内容

 経済的困難を抱える単身男性高齢者は他者に援助を求めることに消極的であることが示されている一方で、援助を求める意識がどのように抑制されているのか明らかにされていませんでした。
 そこで本研究では都内に住む50代から70代の住民票上一人世帯の住民4千人を無作為抽出し、郵送調査を行いました。援助要請に消極的な要因を分析した結果、男性では経済状況が苦しいほど他者への不信とともに将来への諦めが強まり、援助を求める意識が抑制されることが分かりました。女性では他者への不信の強まりに加え、自分で解決しようとする意識の強まりも援助を求める意識を抑制する要因になっていました。子ども時代の経済状況の苦しさもそんな意識の強さに関連していました。
 
これらの結果から、経済的困難を抱える単身中高年者が援助を求めやすい環境をつくるため自治体など支援する側が信頼関係の構築に取り組むことが重要であり、そして男性には「他者と関わる中で将来への展望を持てるようにする支援」、女性には「人に頼る部分と自分で解決する部分の整理を促す支援」が求められることが示唆されました。