第64回日本老年医学会学術集会にて会長奨励演題賞を受賞しました。(90代高齢者の心理的well-beingの関連要因-人生100年時代のwell-being-)

第64回日本老年医学会学術集会において、 福祉と生活ケア研究チーム 井藤佳恵研究部長が、会長奨励演題賞を受賞しました。

タイトル

90代高齢者の心理的well-beingの関連要因-人生100年時代のwell-being-

受賞者

福祉と生活ケア研究チーム 研究部長 井藤佳恵

受賞研究の概要

 身体機能や認知機能の低下が避けられない超高齢者のwell-beingの実現は、老年学の大きな課題です。ですが、今後ますます増えていく超高齢者のwell-beingに関する知見は十分に蓄積されていません。そこで今回、well-beingのなかでも主観的QOLに深く関連し(Lawton, 1983)、メンタルヘルスの主たる指標であるとされる(Lawton, 1994)心理的well-beingに着目し、90代高齢者の心理的well-beingの関連要因を明らかにすることを目的とした研究を行いました。
 今回の研究は2012年にはじまったSeptuagenarians, Octogenarians, Nonagenarians Investigation with Centenarians(SONIC)研究の初回調査のデータから、90代高齢者260名(男性120名、女性140名)のデータを用いて行いました。
 その結果、男性では家族と同居していること(95%CI=1.31-16.22、p=0.017)と観的経済状況が良好であること(95%CI=1.14-13.67、p=0.030)が、女性では社会的役割があること(95%CI=1.24-3.31、p=0.005)が、良好な心理的well-beingと独立に関連しました。
 このことから、90代高齢者の心理的well-beingは、男性では家族との同居や経済的安定といった物質的でドメスティックなものと強く関連し、女性では誰かの役に立っているという主観的感覚と外界への志向に強く関連することが示唆されます。超高齢期にあっては、男性は家庭に、女性は社会に視野を移す転換が必要なのかもしれません。

賞状
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