第64回日本老年医学会学術集会にて会長奨励演題賞を受賞しました。(地域在住高齢者における社会的孤立と循環器疾患による死亡の関連:長期縦断研究)

第64回日本老年医学会学術集会において、福祉と生活ケア研究チーム 江尻愛美研究員が、会長奨励演題賞を受賞しました。

発表タイトル

地域在住高齢者における社会的孤立と循環器疾患による死亡の関連:長期縦断研究

発表者

福祉と生活ケア研究チーム 研究員 江尻愛美

発表内容

 他者との交流が客観的に減少した状態である社会的孤立は、高齢者の死亡リスクを高めること、特に循環器疾患による死亡リスクを高めることが報告されています。しかし、これらの研究成果は国外で実施されたものであり、我が国においても社会的孤立が循環器疾患による死亡リスクを高めるのかは不明でした。そこで本研究では、8年間の追跡調査によりこれらの関連の明らかにすることを目的としました。
 板橋お達者健診2011コホートの郵送調査の回答者、3,696名のデータを用い、2012年に孤立状態を評価し、2020年まで追跡しました。孤立は、別居の家族や友人との対面・非対面での交流頻度が週1回未満と定義しました。死亡日は除住民票により、死亡原因は人口動態調査の死亡票により同定しました。
 その結果、孤立している高齢者は、孤立していない高齢者と比較して2.10倍循環器疾患による死亡リスクが高まることが明らかになりました。循環器疾患の中でも、心疾患や脳血管疾患は日本人高齢者の死因の上位を占める疾患です。社会的孤立予防はこれらの低減のためにも非常に重要であることが示唆されました。

江尻先生賞状とともに
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