日本老年社会科学会において論文賞を受賞しました。

日本老年社会科学会において社会参加と地域保健研究チーム研究副部長小林江里香が、論文賞を受賞しました。

受賞名

論文賞
(令和4年度日本老年社会科学会論文賞)

発表タイトル

都市部の中高年就労者における地域活動への参加-仕事特性および主観的ウェルビーイングとの関連-

受賞者

小林江里香1)
共著者:原田謙2)、斎藤民3)

1) 東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム
2) 実践女子大学 人間社会学部
3) 国立長寿医療研究センター 老年社会科学研究部

受賞内容

 本賞は、学会誌「老年社会科学」に発表された論文の中から選出されるもので、受賞論文は2021年の43巻1号に掲載された原著論文である。
 従来の老年学では、定年退職後の地域参加に焦点を当てることが多かったが、高齢者就労の促進に伴い、仕事と地域活動の両立は中高年者自身にとっても活動の担い手が不足する地域にとっても課題となっている。本研究ではどのような仕事をもつ中高年者が地域活動に参加しやすいのか、(就労していても)地域活動に参加する人ほど主観的ウェルビーイング(SWB)が高いのかの2点について検討した。
 
都内3区市に居住する55~84歳対象の郵送調査に回答した就労者約400人を分析した結果、地域貢献型活動(ボランティア)への参加には、職種や自営業か否かによる有意な違いはなかったが、通勤時間の短い人や仕事の裁量度が高い(創意・工夫が求められる、仕事の仕方を自分で決められる、など)人ほど参加する傾向があり、通勤時間との関連は男性より女性で強かった。仕事の裁量度は趣味・学習型活動への参加とは関連しておらず、裁量度の高い仕事を通して得たスキルが地域貢献型活動にも有用である可能性が考えられる。さらに、活動の種類による違いはあるが、活動参加者ほどSWB(人生満足度、幸福感)が高い傾向があり、地域活動の促進は就労者のウェルビーイングにとっても有意義であることが示された。


小林先生スピーチの様子と表彰盾
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