「認知症の人と家族のための心理支援の手引き」を作成しました。

発表内容の概要

 東京都健康長寿医療センター研究所の山下真里研究員らは、日本医科大学街ぐるみ認知症相談センターとの共同研究の一環として、認知症の人と家族の受診前・診断後の心理支援に関する手引書を作成しました。

作成の背景

 令和元年 6 ⽉に発表された認知症施策推進⼤綱で、「共⽣と予防」つまり認知症になっても希望をもって⽣活し続けられる地域社会を⽬指すことが明記されましたが、その⼀⽅で、地域では認知症を抱えていても受診や相談につながりにくい⼈の存在が問題となっています。この背景には、家族が受診を勧めても本⼈が拒否するため受診できないなど、医療につながる⼿前に問題が発⽣しており、このような相談ニーズに対する⽀援が⼗分ではないことが挙げられます。また、ようやく医療につながっても根治療法はなく、診断後⽀援についても介護保険情報等の情報提供に留まり、本⼈や家族の気持ちに沿った心理⽀援が⼗分⾏われているとはいえません。
 そこで、我々は2022年度、公益財団法人ユニベール財団および日本心理臨床学会の研究助成により、精神科医師、神経内科医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士、研究者など、できるだけ多くの立場の専門職から構成されるワーキンググループを⽴ち上げ、主に認知症疾患医療センターにおける受診前・診断後の⼼理⽀援について議論を重ねました。そこで話し合われた先駆的な実践を、手引書としてまとめました。

研究成果の概要

 手引書は、「認知症疾患医療センターにおける診断後支援の概要」「家族の心理支援」「訪問アウトリーチ」「電話相談」「地域連携」「診断がつかなかった人への支援」「人材育成・評価方法」の全7章から構成されます。この手引書の主なねらいは、認知症疾患医療センターで患者支援に関わる心理職のための活動指針となることです。また、心理支援に関心のあるその他の職種に、支援を行う上で役に立つ情報を提供できればと考えています。

※本研究は、公益財団法人ユニベール財団、および日本心理臨床学会からの助成を受けて実施されたものです。

▼画像をクリックすると内容をご覧いただけます。

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【問い合わせ先】
 東京都健康長寿医療センター研究所 認知症未来社会創造センター
 研究員 山下 真里 
 電話:03-3964-3241 (内線4253)