<プレスリリース>『「ジョブボラ」の創出とデジタルマッチングの実装に向けた研究:誰もが活躍できる社会を目指して』研究プロジェクトが開始

発表内容の概要

 東京都健康長寿医療センター研究所社会参加と地域保健研究チームは、公益財団法人長寿科学振興財団「高齢者社会課題解決研究および社会実装活動への助成」事業の助成を受けて、『「ジョブボラ」の創出とデジタルマッチングの実装に向けた研究:誰もが活躍できる社会を目指して』研究プロジェクトを開始します。この助成事業は、Googleの慈善事業部門であるGoogle.orgの支援を受けて立ち上げられたものです。

 高齢者の社会参加・社会貢献の重要性が謳われているものの、デジタルを活用した高齢者と仕事・ボランティア(以降、「ジョブボラ」と総称する)のマッチングは進んでいないのが現状です。ここでのボトルネックは、デジタルを活用できる高齢者が少ない中で、
マッチングアプリケーション(以下、アプリ)を活用したマッチングが促進される仕組みが整っていない点です(ジョブボラの提供案件が少ない、支援体制が不十分など)。これらを解消するには、使いやすいアプリの開発に加え、ジョブボラに対するニーズのある企業・地域団体(NPO、町会・自治会等)などが多種多様なジョブボラ機会を提供し、個々の高齢者が置かれた状況に関わらずジョブボラ機会の獲得を支援する仕組みが必要です。また、現時点ではデジタルだけでマッチングを完結させることは難しく、人的な支援を必要とする場面もあると考えており、高齢者と企業・地域団体とのハブ役となるコーディネーターの関与も重要です。
 
そこで、本プロジェクトでは、3自治体(東京都板橋区、東京都八王子、埼玉県和光市)において、デジタルを活用したジョブボラマッチングの仕組みづくりに関する調査と実装に取り組みます。自治体がアプリを導入する際のプロセスと課題を整理した上で、「1)アプリを活用できる高齢者の増加」「2)ジョブボラ機会の増加」「3)マッチングプロセスにおいてデジタルで担える部分とコーディネーターが関与すべき部分やその方法の提示」「4)アプリに搭載すべき要素の提案」を通じて、社会で活躍できる高齢者の増加を目指します。
 現状、デジタルを活用してジョブボラ機会を得ているのは、例えば、デジタルスキルや生活機能が高いといった社会参加に積極的な一部の層に限定されています。本プロジェクトでは、こうした層のみならず、フレイル等によりジョブボラ機会獲得に消極的な層へのアプローチも含めます。これにより、多様な高齢者の活躍が促進されることが期待されます。

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図:本プロジェクトの概要

【参画・協力機関】
・ 板橋区社会福祉協議会、NPO法人サービスグラント
・ 八王子市、株式会社べスプラ
・ 和光市、一橋大学、など

【高齢者社会課題解決研究および社会実装活動への助成事業について】
 高齢者のデジタルデバイド解消等について取り組む、大学、研究機関、自治体等を支援するために公益財団法人長寿科学振興財団により立ち上げられた事業です(公益財団法人長寿科学振興財団「高齢者社会課題解決研究および社会実装活動への助成」事業ウェブサイト;https://www.tyojyu.or.jp/zaidan/about-jigyo/koueki1/kifujigyo.html)。

プレス資料

(問い合わせ先)

東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム
研究副部長(テーマリーダー) 村山洋史
電話 03-6905-6781
Email: murayama@tmig.or.jp