第65回日本老年社会科学会大会において、社会参加とヘルシーエイジング研究チーム 研究員 野中 久美子が、優秀ポスター賞を受賞しました。
第65回日本老年社会科学会大会
優秀ポスター賞
地域づくりの新たな担い手「プロボノワーカー」の活動状況とその促進要因の検討:勤労者プロボノワーカーへのインタビュー調査と質問紙調査より
社会参加とヘルシーエイジング研究チーム 研究員 野中 久美子
【目的】
担い手の高齢化による慢性的な人材不足が地域づくりを進める上での課題になっている。その解決策の一つとして、勤労者が職業上のスキルを活かして地域団体の課題解決を支援するボランティア活動「プロボノ」がある。本研究はプロボノワーカー(以降、PW)の活動状況と活動促進要因を明らかにし、勤労者を地域づくり活動へつなぐ手法を検討する際の基礎資料とすることを目指す。
【方法】
NPO法人サービスグラントに登録している、①20~50歳代のPW17名(男性11名)を対象としたインタビュー調査(2020年10月実施)、②PW2,724名を対象とした質問紙調査(2021年12月実施)を実施した。質問紙調査は840名の回答を得て(回収率は30.8%)、男女別の活動状況(活動回数、活動後の支援先団体との関わり等)をMann-Whitney検定またはカイ二乗検定により検証した。研究所倫理委員会の承認を受けて実施した。
【結果】
質問紙調査の結果、女性では20~39歳のPW(58.7%)が最も多いのに対し、男性では40~49歳(35.8%)ついで50~59歳(29.5%)が多かった。男性は女性に比べて平均活動回数が多く(男性=2.15回、女性=1.57回)、活動後も支援先団体と関りを維持する者が多かった(男性=33.3%, 女性=22.8%)。定性的調査の結果、対象者共通の活動促進要因として活動の期間や責任範疇の明確さ、40~50歳代の男性では退職後の活動機会模索が挙げられた。一方で、30歳代のPW、特に女性、では職場と家庭での責任増加が活動継続困難要因になっていた。
【考察】
プロボノは、地域団体の活性化に加えて中年期男性の退職後のライフシフトを見据えた活動になりえる可能性が示唆された。
野中先生賞状とともに