2025.6.19
東京都健康長寿医療センター研究所・自立促進と精神保健研究チームでは、このたび、運動に組み合わせて実施する新しいマインドフルネスプログラム「プチ瞑想」を開発いたしました。プチ瞑想は、運動教室などの活動の冒頭に、数分間の簡易な瞑想を取り入れることで、心と身体の状態を整えることを目的とした実践です。呼吸や身体感覚への気づきを促し、「今、この瞬間」に意識を向けることによって、心の安定や集中力の向上、さらには運動効果を高めることが期待されます。また、運動指導者やスタッフがすぐに活用できるよう、読み上げ形式の実践ガイドと音声動画を作成しました(掲載サイトURL:https://x.gd/tmig_mental)。地域の運動教室、福祉施設、介護予防の現場など、さまざまな場面で活用していただけることを想定しています。
近年、マインドフルネスを運動と組み合わせて実施することで、運動の質の向上や習慣化の促進など、様々な効果が報告されています。一方で、「瞑想」や「マインドフルネス」という言葉には、宗教的なイメージがあり、その内容も専門的で実践のハードルが高いとの声も多く聞かれます。そこで本研究チームは、誰もが気軽に取り組めるように、わかりやすく、日常的な言葉づかいを意識した「プチ瞑想」を開発しました。運動教室の冒頭に実施することで、心の落ち着きや集中力の向上、姿勢の改善、運動パフォーマンスの向上、運動習慣化の促進といった効果が期待できます。
『プチ瞑想 実践ガイド』は、初めての方でも実施しやすいよう、進行のステップや話し方を丁寧に記載しています。主な構成は以下の通りです。
1. 導入(約1分):「今この瞬間に意識を向ける」「良し悪しの判断をせずに自分の状態を観察する」といった基本的な考え方を簡潔に伝え、参加者が安心して取り組める雰囲気づくりを行います。
2. 実施(約8分):呼吸や体の感覚に注意を向けていきます。椅子やヨガブロックを使った安定した姿勢をとるための工夫も紹介されており、高齢者でも無理なく実施できるよう配慮されています。また、進行の参考として、プチ瞑想の実際の流れを収録した動画も提供しており、教室でそのまま活用することが可能です。
3. 振り返り(約3分):体験を共有する「グループ・インクワイアリ」を通して、自己理解を深める時間を設けます。安心して語り合えるようなファシリテーションの工夫も紹介しています。
プチ瞑想実践ガイドの開発にあたっては、明治安田厚生事業団若手研究者のための健康科学研究助成を受けました。
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