多くは無症状ですが、脳梗塞を発症すると
などを発症することがあります。
頚動脈狭窄症(けいどうみゃくきょうさくしょう)は、首の両側にある頚動脈(けいどうみゃく)が動脈硬化により狭くなる(狭窄)疾患です(図1)。
図1
動脈硬化の塊(プラーク)が溜まることが原因となります。このプラークが破れたり、生じた血の塊(血栓)が脳の血管に散らばると脳梗塞となります。
一般的に、中高年の男性や高血圧、糖尿病、喫煙習慣のある方に多く見られます。
無症状の場合でも、約5~10%の高齢者に頚動脈狭窄が存在すると報告されており、特に症状のある場合には脳梗塞のリスクが年間10%程度に達する可能性があります。
一過性脳虚血発作(TIA)を引き起こすことがあり、これが脳梗塞の前兆となるため、早期の発見と治療が不可欠です。
上記にも述べたように頚動脈狭窄症の主な原因は、動脈硬化です。
これにより、血管壁が硬くなり、プラークと呼ばれる脂質沈着物が血管内に形成され、血管の内径が狭くなります。
症状としては、片側の手足の麻痺やしびれ、言語障害、視力障害、めまい、一過性の意識障害などで発症します。
また、眼の血管に影響が出ると視力や視野の異常で発症します。
これらの症状は、脳梗塞あるいはその前兆として現れることが多く、緊急の対応が必要です。
頚動脈狭窄症の診断には、画像診断が重要です。頚動脈エコー(超音波検査)やMRIで診断することが可能です。
さらに造影剤を使用したCT(CTアンギオグラフィー)やカテーテル検査で詳細な精査が行われます。これらの検査により、血管の狭窄の程度やプラークの性質を評価し、治療方針を決定します。狭窄の程度を軽度、中等度、高度に分類し、リスクを評価します。
動脈硬化の予防、狭窄の進行を防ぐために生活習慣の改善と薬物療法を行います。高血圧や糖尿病の管理も重要です。
軽度から中等度の狭窄では、抗血小板薬やスタチンなどの薬物療法が推奨されます。
狭窄が高度である場合や、脳梗塞のリスクが高い場合は、外科的治療を検討します。外科的治療は①頚動脈内膜剥離術(CEA)や②頚動脈ステント留置術(CAS)の2つが選択肢となります。
これらの治療法は、狭窄部位を広げることで、脳への血流を改善し、脳梗塞のリスクを低減します。
当院では両者の治療を行っておりますので、治療の選択はそれぞれ患者さんの全身状態や合併症の有無、狭窄の場所や程度に応じて決定されます。
①頚動脈内膜剥離術(図2)
外科的に動脈硬化プラークを摘出する方法になります。頚部を10cm超切開し頚動脈を露出します。
頚動脈に切開を入れ、直接異常なプラークをはがして摘出します。その後血管を細かく縫合し手術を終了します。
手術中のプラークの飛散(脳梗塞のリスク)が低く、確実に血管を広げることができる方法となります。
特に脳梗塞で発症した方の治療法としては有効性が高いと考えております。予定入院の方は10日から14日程度の入院で治療しています。
図2
②頚動脈ステント留置術(図3)
カテーテルを用いて血管の中から治療する方法になります。
足の付け根を指し、カテーテルを挿入、バルーン(風船)を用いて狭窄部を広げ、ステント(金属製の筒)を留置し、プラークが破れないように補強をする治療になります。
切開が必要ないため、体に対する負担が少ないことが利点となります。当院では3泊4日程度の入院で治療しています。
図3
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