老年症候群

疾患概要

加齢により、体の機能は変化します。高齢者の特有の、どこに原因があるのかはっきりわからないような症状・徴候の総称を老年症候群と呼びます。
少し気になる「物忘れ」から、介護が必要な方の「失禁」や「褥瘡(じょくそう)」まで、老年症候群の症状には50項目以上が含まれます。
総合内科・高齢診療科を受診する患者さんの半数以上は、食欲低下・体重減少、めまい・ふらつき感、慢性の身体の痛み、足のむくみ、元気が出ないなど、老年症候群の原因精査のために受診されています。

zu.png

原因・症状

多くの患者さんが、複数の老年症候群を訴えておられ、当科を受診される患者さんは、平均3.6の症状をお持ちです。特に、疲労感、ふらつき感、食欲低下、物忘れ、尿の回数が多い、との症状は30%以上の患者さんが訴えておられます。

原因は、加齢に伴う身体機能の低下、合併している疾患に伴う症状、内服中の薬が影響しているなど、様々な要因が考えられます。多くはありませんが、治療すべき重大な疾患が潜んでいる可能性もありますので、一度は検査を行い、病気の有無についての確認することが重要です。

検査

症状に対する検査の例を示します。

  • 食欲低下、体重減少:癌や感染症などの疾患がないかについて、血液検査、CT検査、超音波検査、内視鏡検査など行います。
  • めまい・ふらつき感:貧血や脱水症、脳血管障害、心疾患などの有無を調べるために、血液検査、頭部MRI検査、心電図、心臓超音波などを行います。
  • 足のむくみ:心疾患、腎疾患、甲状腺疾患、悪性腫瘍などの有無について、血液検査、尿検査、心電図、心臓超音波、CT検査などを行います。

症状に応じた検査で病気が見つかることは20%未満ですが、不安を抱えながら過ごすことは精神衛生上よくありません。また、病気が手遅れになってしまうと後悔しますので、気になる症状がある場合は検査を行うことをお勧めします。

治療

治療すべき病気が見つかった場合は、病気に応じた治療が必要です。

内服中の薬剤が症状の原因となっている可能性がある場合には、薬を処方している先生との相談が必要です。

加齢に伴う症状の場合、症状とうまく付き合っていかなくてはならない場合もありますが、栄養管理、適度な運動、人との交流を積極的に行うことにより、ある程度症状が改善することも少なくありません。薬に頼る前に生活習慣を見直してみることも重要です。

総合内科・高齢診療科 診療科ページ

前のページ がん性疼痛
次のページ ポリファーマシー