加齢とともに持病が増え、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の薬、脳卒中や心筋梗塞の再発を予防するための薬などが必要になってきます。
さらに、加齢変化による便秘、足腰の痛み、不眠などの老年症候群が重なることから、便秘薬や鎮痛薬、睡眠薬など、複数の薬を飲む患者さんが増えてきます。
総合内科・高齢診療科の外来患者さんは平均5.1種類、入院患者さんは平均6.3種類の薬を内服されています。
薬が多くなると、薬の副作用が出るリスクが高まります。また、飲み間違いや飲み忘れが増え、薬が効き過ぎてしまうことや、期待する効果が得られない、という問題が出てきます。
複数の薬を飲むことにより、良くない現象がおきていることをポリファーマシーといいます。
心臓病や糖尿病の患者さんは、からだの状態を良好に維持し、脳卒中や心筋梗塞を予防するために、平均9種類の薬を内服しています。多くの薬を飲むことを心配される方もおられますが、それらは重要な薬剤ですので、忘れずに飲む必要があります。
一方、便秘薬や睡眠薬、鎮痛薬などは、必ずしも生命維持に必要な薬ではなく、生活習慣の見直しにより、ある程度症状の改善が得られることもあります。睡眠薬や安定剤の中には、認知機能の低下や、筋力の低下に繋がる薬も含まれていますので注意が必要です。
病気の治療薬や予防薬は、主治医の指示どおりきちんと内服する必要があります。もし、薬を飲むことで何か良くない症状が出る場合には、必ず処方した先生に相談する必要があります。薬によっては量の軽減、他の薬への交換が可能です。遠慮せずに相談してください。
一方、便秘薬や鎮痛薬、睡眠薬、めまいの薬などは、期待する効果が得られていない場合も少なくありません。気になる場合には、薬の中止や変更について主治医とよく相談して下さい。薬によっては、時間をかけて少しずつ調整していく必要があります。薬に頼る前に、まずは生活習慣を見直してみることも重要です。
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