老化制御研究チーム 研究員 廣瀬美嘉子が第47回 分子生物学会年会 MBSJ-EMBO Poster Awardを受賞しました。
慢性疾患における老化細胞の影響 -肺の再生への関与-
The role of senescent cells in chronic pulmonary disease: implications for lung repair
老化制御研究チーム 老化細胞研究 研究員 廣瀬美嘉子
第47回 分子生物学会年会 MBSJ-EMBO Poster Award
近年、加齢に伴う各臓器への老化細胞の蓄積が、疾患の発症や増悪化に寄与することがわかってきています。
COPDは世界の死因第3位(2019年)を占める患者数の多い疾患です。COPDは加齢に伴って増加する疾患であり、世界的な患者数の増加は高齢者人口の増加と関連すると考えられています。COPDの主要病態の一つである肺気腫では肺胞の破壊が起こりますが、一度破壊された肺胞を再生させ、元の状態に戻す治療は現時点では存在していません。
今回、分子生物学会年会にて、肺気腫病態モデル動物において、老化細胞が「肺胞再生の抑制」を介して肺気腫病態を増悪化することを報告しました。そのメカニズムとして、老化細胞由来の液性因子が、特定の核内受容体シグナルの抑制を介して、肺の再生を抑制するというデータを紹介しました。
今後、このメカニズムを詳細に解明することにより、COPDの根治を目指す創薬基盤の構築ができると考えられます。