<プレスリリース>「わが国の若年性認知症の有病率と有病者数」

発表内容の概要

2017年度~2019年度に実施した日本医療研究開発機構(AMED)認知症研究開発事業によって実施した若年性認知症の調査において、わが国の若年性認知症有病率は18歳~64歳人口10万人当たり50.9人、若年性認知症者の総数は3.57万人と推計されました。

研究目的

若年性認知症では、高齢者とは異なる、その年代に合った社会支援が求められていますが、そのための社会政策や社会資源は今なお不十分な状況にあります。本研究の目的は、今後の若年性認知症施策を考える基礎資料を得るために、今日の若年性認知症の有病率、有病者数、生活実態を把握することにあります。

研究成果の概要

全国12地域(北海道、秋田県、山形県、福島県、茨城県、群馬県、東京都、新潟県、山梨県、愛知県、大阪府、愛媛県)において、16,848ヵ所の医療機関、介護サービス事業所、障害福祉サービス事業所、相談機関等の協力を得て、全国の若年性認知症の標準化有病率と有病者数を推計しました。その結果、2018年時点でのわが国の若年性認知症有病率は人口10万人あたり50.9人(95%信頼区間:43.9-57.9)、有病者数は3.57万人、原因疾患別では、アルツハイマー型認知症(52.6%)が最も多く、血管性認知症(17.1%)、前頭側頭型認知症(9.4%)、頭部外傷による認知症(4.2%)、レビー小体型認知症/パーキンソン病による認知症(4.1%)、アルコール関連障害による認知症(2.8%)がそれに続くことが明らかになりました。

 また,生活実態調査から、1) 最初に気づいた症状は「もの忘れ」(66.6%)とともに、「職場や家事などでのミス」(38.8%)が多く、2) 約6割は発症時点で就労していましたが、そのうち約7割が調査時点で退職しており、3) 約6割が世帯収入の減少を感じており、主たる収入源は約4割が障害年金、約1割が生活保護であり、4) 約3割は介護保険の申請をしていないことがわかりました。

研究の意義

わが国では2006年度~2008年度に若年性認知症の有病率調査が行われており、有病率は人口10万人あたり47.6人、有病者数は3.78万人と推計されました。前回調査と比較して有病率は若干増加しましたが、有病者数は減少しました。これは若い世代の人口減によるものです。また、前回調査で血管性認知症が最も大きな割合を占めましたが、今回調査ではアルツハイマー型認知症の割合が最も高くなり、前頭側頭型認知症の割合もかなり増えました。その背景には、若年性のアルツハイマー型認知症や前頭側頭型認知症に対する国民の意識の高まりとともに、変性型認知症に対する医療機関の診断精度の向上が関係しているのではないかと思われます。

生活実態調査の結果は、若年性認知症の多くの方が発症時には就労しているものの、退職を余儀なくされ、その結果収入が減少し、主な収入源が障害年金や生活保護になっていることを示しています。また、今回の調査では、若年性認知症者の多くが認知症疾患医療センターで診断されていることも明らかにされています。

認知症疾患医療センターにおける質の高い診断と診断後支援、就労・経済・社会参加など若年性認知症の本人のニーズに合ったサービスの充実が求められています。

プレス資料

(問い合わせ先)

東京都健康長寿医療センター研究所

副所長 粟田主一

電話 03-3964-1141内線4200

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