疾患概要
水頭症は歩行・認知機能・排尿が障害され、シャント手術によって治療ができます。
しかし、症状がゆっくりと現れるので「老化かな?」と見過ごされがちです。水頭症患者のうち1割ほどしか病院を受診していません。
転んで足や腰の骨折など大きな怪我をしてから気づかれることも少なくありません。
原因・症状
- 加齢とともに髄液の吸収が悪くなることが原因です。
- 歩きにくい、転びやすくなった。
- もの忘れがめだつようになった。自発性や集中力が低下して、ぼんやりして元気がなくなった。
- 尿をがまんできなくなり、もらすようになった。
これらの症状がさまざまに組み合わさって出現します。
検査
- 頭部CTまたはMRI検査を行います。髄液がたまった脳室が上にむかって大きくなっており、頭頂部の脳溝が狭いことが特徴です。
- 針を腰椎のすきまに刺して髄液を抜いてみることができます。一時的ですが症状が良くなるか確認します。

治療
髄液を脳から別のところに流すカテーテルを体に埋めこむ、シャント手術を行います。
歩きにくくなって頭部CT検査で診断され、シャント手術を行った患者さんの80%で症状が改善したと報告されています。
カテーテルを埋めこむ場所は3種類あり、どれも1時間ほどで終わって効果に差はありません。患者さんそれぞれの状態に合わせて選びます。
- 図1 脳室―腹腔シャント:頭蓋骨に1個の孔を開け、脳室にむかって管を入れます。管のもう一端は皮膚の下を腹部まで通し、腸のあいだに入れます。

図1
- 図2 腰椎―腹腔シャント:背中から腰椎のすきまを通して髄液のある空間に管を入れます。管のもう一端は腹部に通します。

図2
- 図3 脳室―心房シャント:脳室に管を入れます。管のもう一端は頚部の静脈から心房にむかって入れます。

図3
水頭症についてより詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。
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