急に尿が出ない
数時間~数日の間に急激に腎機能が低下する状態です。尿から老廃物を排泄できなくなり、さらに体内の水分量や塩分量など(体液)を調節することができなくなります。
以下のいずれかがある場合を急性腎障害と定義しています。
①48時間以内に血清クレアチニン値が0.3mg/dL以上上昇した場合
②過去7日以内に血清クレアチニン値がベースライン値から1.5倍以上上昇した場合
③尿量が6時間にわたり0.5mL/kg/時を下回った場合
①腎性急性腎障害:腎臓自体の障害(感染や薬剤投与による急性糸球体腎炎、急速進行性腎炎、急性間質性腎炎などが原因となる)が生じる
②腎前性急性腎障害:脱水など腎臓に流入する血流の低下が原因となる
③腎後性急性腎障害:腎臓で作られた尿が尿路の狭窄(きょうさく)(管の中が細く狭くなること)や閉塞により流出できないことが原因となる
の3つに大別されます。
腎前性は脱水症状(のどの渇き、尿の減少、濃い色の尿、肌や口の中などの乾燥、脈拍が速くなるなど)がみられますが、高齢者では気づかれずに意識障害や体動困難にまで至る場合もあります。
腎前性は尿検査でナトリウムの排泄分画(FENa)が1%未満となり、腎性では>1%となります。体液量の評価も参考になります。
腎後性は尿路系の画像検査(超音波やCT)で閉塞部位がないか調べます。
腎障害が大きく、高カリウム血症やアシドーシス(体液が正常よりも酸性に傾いた状態)が生じていたり、体液貯留が著明であったり、尿毒症症状がみられた場合、必要に応じて緊急で透析を行うことがあります。
腎前性の場合は補液、腎後性の場合は尿が流出するよう、尿道カテーテルや尿管ステントなど泌尿器科的処置が必要になります。腎性の場合はその原因の治療を行います。
早くに治療をしないと腎機能は改善せず、慢性腎臓病に移行してしまう場合もあります。
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